なんで夏になったら車が壊れるのか。
暇な時はほいほいと無表情で動いていたくせに、忙しくなるとなんでまた急に年寄りくさくなるのか。
僕はダイビングショップをはじめてその永遠とも呼べる謎を毎年のように見てきてわけだが、今年もやはりその謎を制することはできなかった。
だからといって、車にど素人の僕だって「はいそうですか、まあ仕方がないですよね」とあほヅラで過ごしてきたわけではない。
夏が近づくにつれ、運動不足のお年寄りの背中を触診をするように細心の注意を払っているのだ。
しかし必ずといっていいほど意外なところが壊れる。
皮膚癌が来ると思って防御していたら、帯状疱疹が出てくるようなものだ。
まあ防ぎようがないと言ってしまえばそれまでなのだが、ほんとうに困る。
しかしながら、長いことそういうことを経験していると不思議なことに腹は立たなくなってくる。
それよりもいち早く治せる修理工場はどこなのかということに頭がいくようになる。
そういう意味であたふたしなくなったことはある意味で唯一の美点だとおもう。
今回はいきなりリアのクーラーが効かなくなった。いきなりステーキが出て来れば問題はないんだけどね。
クーラーが効かないのは超問題です。
ハイエースは3列あるので、リアが効かないとなると前のクーラーをフルスロットルで強めないといけない。
そうすると運転手と助手席に乗っている人は寒い。
そうなれば前列には寒さに強い人を乗せて走るしかほかない。
寒さに弱い人しかいないとなると夏なのに上着がいる。
困ったものだ。
僕が修理工場を渡り歩いてきて一番いいなと思う方法をここで書き記しておきたい。
(これから20年選手の旧車に乗ろうと思っている方のお役に立てるかどうかはわかりませんがね)
まず、修理の方法が明確になっているわかりやすい修理ものは民間の修理工場でいい。
たとえば、バンパーが壊れたとか、どっかからなにかが漏れているとか、内装の部品を交換するとかいった類のことだ。
料金も安く済むし、再発もほとんどおきない。
修理屋さんもそんなの朝飯前だぜってな感じでぴんぴんに直してくれます。
しかし、どこがどう悪いのかがわかりにくい修理の場合はだめだ。
車の知識自体は乏しくないとは思うのだが、ああでもないこうでもないと時間がかかったわりに再発する可能性が高い。
今回のリアのクーラーがいい例だ。
実は昨年、同じ時期に同じ症状でリアのクーラーが壊れたのだが、原因がわかりませんねえと頭をうんうんひねりながら、温度調節のレバーがついたパネルを交換してくれた。
そのときは一応エアコンは効くようになったのだが、レバーを動かしても細かい温度は調節されなかった。
でも後ろは一応冷えるし、まあいいかと思っていたら今年になってこれだ。
おそらく根本からは直っていなかったのだと思う。
けっこう修理代はかかったんだけれど、単なる応急処置にすぎなかったということになる。
だからといって修理屋さんを責めることはできない。
修理屋さんもそのときは誠意を持って直してくれたんだから修理屋さんに罪はないのだ。
そう悪いのは僕なのだ。
僕が持っていく場所を間違えた。それだけのことなのだ。
そういう原因不明の修理の場合はトヨタのディーラーにもっていった方がいい。
修理代は高いが、完璧なまでに直してくれる。
つい先日、アイドリング時に助手席の窓が閉めていてもカタカタいうので修理屋さんにもっていったら、これはエンジンをくるむバスケットみたいなやつがへたっているかもしれないから修理代が結構かかるかもしれないと言われたので一旦持ち帰ったのだが、トヨタのディーラーにもっていたらものの10分で直してくれた。
原因は助手席側のドアの建て付けが悪くなっていただけで、ドアとボディを挟んでいるゴム部分の交換すら必要ないとのことだった。
しかも修理費無料だったし、トヨタの清潔なおばさまたちが緑茶や烏龍茶をいれてくれたりと世話を焼いてくれた。
これだけ安心できるならやっぱりディーラーの方がいいに決まっている。
しかも天下のディーラー様がお手上げということならこちらもあきらめがつきやすい。
というわけで、今回のリアクーラーの修理は当然ディーラー様にお願いすることにした。
ここでハイエースの修理日程を記載しておきたい。
先に言っておくが、見えない苦労をみんなに知ってもらおうとか、同情心を煽ろうとかそんなみみっちいことを語るための材料を作ろうとしているわけでない。
ただ僕は未来の修理に向けて、現在の修理の記録を書いておこうと思っているだけである。
誤解してはいけない。何事も未来を知るには過去の歴史が必要なのだ。
7月8日
10時にトヨタカローラ福岡。
そこで電気専門業者DENSOの人が来てくれて壊れたリアクーラーを診てくれる。
修理費用がどのくらいになるのか、どのくらいの日数で直るのかを詳細に調べてくれる。
もしそれがいくら高額でも直さずにはいられないのだけどね。
引き取りは夕方。30分かけて長浜まで歩いていく。往復歩くわけだから60分。
その日はつばさのDM学科初日だけど途中で抜けるかもしれない。つばさには悪いけど。
あたりまえだがそれまではリアクーラーは使えない。
7月11日 上野自動車に車を預ける。
辰ノ口から帰ってきて暗くなってきたころ二又瀬まで行って車を置いてひとりで戻ってくる。これは苦行なのでタクシーを使うかもしれない。
タクシーが使ってはいけないとなると、景気良く大型トラックが走る幹線道路のバス停の前で顔中がすすだらけになる可能性が高い。
しかも夏の海にしっかり潜っているわけだから体だって疲れている。
老眼の入った目をこすりながらバス停の時刻表をチェックして、バッグからニモカ取り出してバスの改札機にかざす。
ようやく着いた天神のバス停から人混みをかき分けながら徒歩で帰ってくる。
これはどうだろうね。僕は個人的によくないと思う。
修理箇所は電動ミラーの交換。ワイパーの水が右しか出ないのでダッシュボードひっくり返して修理。
ついでにインパネの中のライトも交換。これでメーターが見やすくなる。アナログメーターだからね。
7月14日 受け取り
暑い中、二又瀬までいくのに西鉄バスを乗りつぐ。
これで虫がついてもワイパー水でしゃしゃっと綺麗。
高速で走ってもミラーがぐらつかない。
7月19日 車検
太宰府の車検の早太郎まで下道でいって車検をうけるのだが、このときブレーキパッドやらなんやら交換しまくるはず。
時間も半日はかかると予想される。
その間、僕はかなりの待ちぼうけをくらっていることだろう。
君の好きな本をいくらでも読めるからいいじゃないかと思われるかもしれないが、HSP特性の強い僕はテレビがうるさい待合所ではそんなに長く読めないのだ。
だから読んでは休憩。読んでは休憩を繰り返す。
僕は腰が痛くなる丸椅子で気が遠くなる時間が過ぎ去るのをただ待つしかない。
もちろん車検を通してくれる整備士さんに感謝の念をこめながらではあるのだが。
でも早くしてくれと願っていることも確かである。
そしてこのあたりまでにはリアクーラーも直しておきたい。
なぜなら、梅雨があけてしまうかもしれないからね。
梅雨があけてからでは、前方クーラーのみで満足のいくまで後席を冷やすことはできまい。
当たり前だが日本の夏はそう甘くない。黒潮に囲まれた日本は多湿を極めるからだ。
初代ハイエースのエアコンが真夏に大将さんの家の前で壊れてから、車にのるときは毎回うちわ持参だったことがあるが、生命の危険を感じるレベルで暑かった。
エアコンが効かない車は10分と乗っていられないことが身に染みてわかった。
もう2度とあんな夏は経験したくない。
憂鬱な夏はまだまだこれからだ。
ますます気を引き締めなければならない。
RIO