おやすみのあいさつ。

朝にたまごを三個たべると痩せます。

朝食は抜いてください。つまりはたまごだけが朝ご飯、朝ごはんはたまごだけです。

僕はそれを聞いた次の日から毎朝三個づつ食べました。

茹でたときもあれば、煮ていたときもありました。

殻を割っただけの生のままのときもありました。

律儀に三個づつ食べました。

にわとりが生み落としただけのたまごを食べていると、僕の中のなにかがすこしづつ変わっていくのがわかりました。

にわとりの提供する血肉が僕のそれにとってかわっていくかのような感覚さえありました。

 

2ヶ月もすると、お腹の奥にどっしりかまえていた脂肪が減っていきました。

おなかの空き具合も変わっていきました。

スナック菓子が喉を通りにくくもなりました。

そのかわりに夜になると眠りが浅くなって、寝不足が続くこともわかりました。

僕はまったく知らなかったのですが、どうやら眠りとたまごは反作用の関係にあったようです。

ある夜、僕は痩せれることと眠れないことをそっとhakariにかけてみました。

それはある意味で迷いはありませんでした。

眠りのほうへと傾いていきました。

 

たまごをたべるのをやめました。

にわとりには申し訳ないと思いましたが、仕方ありません。

睡眠薬には頼りませんでした。あくまで自然な方法をとりたかったからです。

3日ほどすると、眠気がもどってきました。

もともと存在していた効率のいい眠気です。

それは夜に訪れなければならない夜だけの眠気であり、誰もがもつべきである権利としての眠りでした。

 

その眠気は今すでに僕のまわりをすっぽりととりかこんでいます。

それを追い払うために必要な気力は残されていません。

僕はそのまま最後のまばたきをしたら眠りにつきたいと思います。

おやすみなさい。