愛すべきダイビングの形

DIVERという雑誌をパラパラとめくっていると、「海を作る」というボランティア団体の記事を見つけました。

その記事にはそこの代表の方の器材が特集されていましたが、水中清掃だけに特化したシンプルかつ特殊な性向がありました。

「ジャラジャラは命とり」の格言をもとに、器材はできる限りシンプルに。BCではなくハーネスを使い、オクトパスも外し、スノーケルもつけない。

ロープとナイフとフロートを持ち、釣り糸、漂着ゴミ、漁具ゴミなどを拾い集めるダイビングをなんと年に40〜50回ほど行っているとのこと。

汚く濁った海でひたすら海底のゴミを拾い集める行為は心底頭が下がります。

おそらく戸惑ってしまうようなものを見つけたことだってあったと思います。

例えば、白くてビニールに入っていて間違って吸ってしまうとあっちの世界に行ってしまうようなものとか。

ホームページなんか見るとその活動には結構いろんな人が賛同しているようで、参加者も多いみたいですが、僕はあんまりやりたくないなあ。

いつもゴミばっかり拾っていると透明度が良くて魚が多いところに潜っても、そんなことはそっちのけでゴミばっかりに目がいって、「こんな綺麗なところにゴミ捨てるなんて。けしからん」なんて言いながら、目くじらを立ててしまうそう。

そんなことなら普通のくじらを見たいです。

僕が海に潜るのはあくまで遊びであり、癒しであり、純粋な探究でありたいと思っています。

たしかにダイバーは海の環境に触れやすいというのは一理ありますが、だからといってダイバーがゴミを拾う義務があるとは思っていません。

それというのも僕は海のゴミというのは世界共通財産という認識があるからかもしれません。

世界ではブルトーザーを阻止するより難しいほど大量のゴミが海へと垂れ流されていて、少数派の日本人ダイバーが頑張って拾ってもまあ無意味とまではいかないにしても、海に醤油を垂らしているようなもの。

自分たちのダイビングがしやすくするために、港の中や一部の限定された海域に落ちているゴミを拾うというのは、自分の家の前の道路は掃除するけど、そこから離れたらもう関係ないと言っているようでどうも環境活動の当を得ているように思えない。

だから人間がこの世界にいる以上、ゴミがあるというのはまあ仕方がないか。と思ってあきらめて潜るようにしています。

それにしてもダイビングを続ける動機というのは人それぞれです。

潜っている行為は同じなのにこんなに違うのかと驚くことがあります。

僕の動機の一つにあるのは、大濠公園をお散歩しているかのように海でもお散歩したい。

だからストレスを感じるような不十分な器材や不満足なスキルではいけない。

陸上と同じくらいの感覚と雰囲気で気軽に潜れることが何より大事です。

そんな風に潜っているとそこにはちょっとした疑問が浮かぶことがある。

「今月からシロウミウシが急に増えてきているな。どうしてだろう」

僕はシロウミウシのツノを眺めながら増えた原因を考える。

じっとみているとそこには無言の思考のようなものが返ってくる。

僕は形にならないささやかな思いにそっと耳を傾けてみることにするのだ。

シロウミウシの動きは面倒なほど緩慢で疲ているように見える。

すっかりくじけているようにも見える。

相島が寒くて志賀島に大移動してきたのか。

それともキヌハダウミウシたちが大繁殖して村ごと襲われてしまったのか。

そういえば、みんな同じような顔つきをしているから親戚筋にも見えなくはない。

この子たちはみんなで故郷を捨てて広くて深い砂地をそれなりの焦りと苛立ちと共に横断してきたのだろうか。

そんなことを一人でつらつらと考えているうちに残圧がなくなって上がる時間が迫ってくる。

泳いで岸に向かっている途中にシロウミウシのことなんてすっかり忘れてしまって、結局のところどうだったのかなんてわからないけど、それが僕のごく自然なダイビングの楽しみ方です。

 

 

さて、ここからは僕がこれまで調べたダイビングの動機をざざっと並べてみたいと思います。

 

◉綺麗な写真を撮りたい

水中写真は陸上写真に比べてはるかに難しいし表現形態の一つとしての魅力があります。

今の時代、綺麗な写真を撮れば世界中に自慢できます。やりようによっては水中カメラマンとして食べていくことも簡単な気がします。

 

◉魚や生物たちの生態が気になる

もともと動物や生き物が好きな人はじっくり観察してみたいという気持ちがあります。

スキューバダイビングでは新鮮な生き物たちの見事な生活を見ることができますから。

 

◉みんなでお酒を飲んだりワイワイしたい

ダイビングは長い時間、誰かと同じことを共有できるという体質が備わっています。

その親密な共有感を一度味わってしまうと病みつきになってしまうのはわかります。

 

◉水の中でただ癒されたい

水には羊水を思わせるところがあるので、本能的に落ち着くんでしょうね。

魚なんて見なくていいから、あったかい海に潜りたいという人に多いと思います。

ただ泳ぎまくりたいという人もこのタイプです。

 

◉瞑想

水中では瞑想状態に入りやすいです。

スキューバダイビング瞑想をマスターすれば頭の中が綺麗にリセットされています。

こんなことをやっているのは僕くらいかな。

 

◉色々な経験を増やして勉強したい

資格が取れるし、いろんな人の話も聴けるし、大自然と向き合えるので、他方向から人生勉強ができます。

僕が一スタッフとして働いていた頃、とある企業の社長さんと仲良くなって僕も起業してみたいと思うようになりました。

 

◉メカニカルなことが好き

ごちゃごちゃとした実用的なメカ器材をあれやこれやと整備して楽しんでいる人もいます。

僕が真剣に釣りをしていた頃は釣具をいじる方が楽しかったので気持ちはわかります。

 

◉壮大なロマンを求める

やわなダイビングお断り。洞窟、沈船、豪快ドリフトといった探検を満喫したいという、冒険家気質の人も少数派ですがいます。

 

以上。

 

痩せたい、モテたい、誰かに勝ちたいとかいう動機は聞いたことがない。

そんな動機をお持ちの方はRIOまでお知らせください。

 

今日、老舗ウエットスーツメーカーのSUNFUNが倒産したのを聞いてびっくりしました。

日本のダイビングシーンは僕が生きている間には拡大することはないかもしれません。

でも辰ノ口の深場にひっそりと咲くキサンゴのようにレジャー業界のどこか深いところで肩寄せ合いながら生き残ってくれそうです。

だってダイビングにはこれだけの愛すべき魅力が備わっているんだから。

僕も陰ながらダイビングのことを応援しています。

がんばれダイビング。

負けるなダイビング。

 

RIO