今日は雪ですね。
明日も雪ですね。
日本中どこも潜れない。
こんな日は決まって穏やかなあたたかい南の島の風景を思い浮かべてしまう。
最強寒波って、昔はもっと寒かったけどそんな言いかたしてなかったけど。
オワコン気味のテレビ局、視聴率ほしがるねえ。
そういうわけで今日は、
都市型のダイビングショップを10年以上やってきて、不思議に思っているテーマのひとつ。
「リゾートダイバーになると、なぜ数年経つと潜ることをやめてしまうのか」
講習中、熱意を込めて一生懸命丁寧に教えたから、さぞかしダイビング楽しんでるんだろうなって思っていたら、
「もうやめてるんかい!」って突っ込みたかったことは数知れず。
習った内容は3年も経てば記憶の墓場行き。
ビジネス的なことは抜きにして教える側にすれば気分のいいものではない。
特に僕みたいな理想型の人間にとってはやる気がなくなる原因のひとつとなる。
わたしが導き出した答えはパーフェクトではない。
しかしおおきくは外れていないと思っている。
暇なときに一読してもらいたい。
リゾートダイバーになる人の多くは、鍵井さんが撮った美しい世界の海の写真集みたいなものを見て、ダイビングをはじめてみようと思う。
ジュゴンを生で見てみたいわ。
マンタと泳いでみたいわ!
サンゴに群れる色とりどりのさかなたちに囲まれてみたいわ!
水着の女の子が間近に見れるぜ!っていう理由ではじめるおじさんもいるかもしれないけどww
ライセンスを取得する。
海に潜る。
写真集で見たのと光景が広がる。
それはダイバーにしか味わえない感動的なシーンだ。
しかし、同じくらい「非感動的なシーン」も味わうことになることを初心者さんは知らない。
それは以下のいずれかである。
1、潜降できなくて右往左往する。
2、中性浮力がとれなくて右往左往する。
3、エアーがもたずに自分だけあがる。
4、泳いでいる最中、マスクに水がちょこちょこ入ってきてプチパニック。
5、周りが常連だらけでのけもの扱いにされる。
6、ガイドが早く泳ぎついていけずに疲れる。
7、船に乗ったら波が高くて酔いまくる。
8、思っている以上に船の上は風が強く、寒くてガタガタ震える。
9、器材の準備と片付けがおっくう。
10、ブーツがすれて靴擦れ。
11、クラゲやウニに刺されて腫れ上がる。
非感動的なシーンを跳ね除け、ダイビングを続けるには「補助パワー」が必要になる。
1、飛行機代が安い
2、仲のいいお友達が一緒に行ってくれる
3、現地の季節と天候がいい
4、現地でしか食べれない美味しい食べ物を食べたい
5、まだ見たことがない生物(クジラとかマンタとか一般的に珍しいやつ)を死ぬまでに絶対にみたいという熱意
しかし、補助パワーは年々減ってくる。
特に5。
一回見てしまうと、
ふーん、こんなもんか、となるから。
やがてダイビング器材はタンスの肥やしとなる。
使わなくなった器材のゴムはどんどん劣化する。
体型が変わり保護スーツが着れなくなる。
たまにはダイビングでもしてみようかなと思った時、器材はほとんど使えない。
ダイビング器材を二束三文で売りに出す。
家族でテレビを見ているとき、石垣島のマンタが映るとこう言う。
「あたしマンタと潜ったことあるわ!でかくてすごかったわ!あなたは見たことないからわからないでしょうけど!」
多くのダイビングショップが、
ダイビングライセンスを「水中を観光するためのパスポート」という売り方をしているからいけないのだと思う。
観
光
は、見て楽しむだけ。
見たら終わりなのだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
ダイビングは「知識で楽しむ」のが基本。
だから、ダイビングをほんとうの意味で楽しむには「勉強」がマストになる。
(しなければならないというか、ちゃんとやってれば自ずと知識はついてくる。というか趣味と呼ばれるもので知識がいらないものはないと思う)
1、海の知識
2、魚の知識
3、海藻の知識
4、ウミウシの知識
5、エビカニなどの生物の知識
6、器材の知識
7、カメラの知識
8、天気の知識
9、水中地形の知識
10、人体についての知識
11、ドライのインナーを変えたらどういうふうにウエイトを配分したらいいかの知識
etc.
豊富な知識のもと、自分なりの仮説を立て、工夫を加え、創造していければ上級者である。
そして、上級者を目指すのが「趣味」だと思う。
知識がいらない遊び=気分転換=It’s not a hobby
例えば、
食べたり飲んだりするだけのカフェ巡り
観光目的の旅行
観光目的のダイビング
友人とわいわい酒飲み
ダイエット&健康目的のランニング&筋トレ
暇つぶしパチンコ
流行りのものを買うショッピング
流行りの美容
流行っている映画を見る映画鑑賞
山笠の追いかけ
海を相手に遊ぶ趣味をするには「ホームグラウンド」が絶対必要になる。
(釣り、サーフィン、ウインドサーフィン、ボディーボード、ウエイクボード、ヨット、SUP)
なぜなら、
ダイビングに関していえば、何度も通うことでスキルアップするのはもちろんのこと、海、生物、地形の基本的な仕組みがわかるようになり、自分にあった器材の選び方がわかるようになり、ナビゲーションがわかるようになり、ウミウシなどの小さな生物を自分の目で見つけれるようになる。
モルディブの海にしょっちゅう行ってホームグラウンドにできるならそれでも構わないけどね。
マンタを見るにしても知識がない人は、
「おおきい〜〜〜〜!きれい〜〜〜!」で終わり。
マンタの知識がある人は、
あのマンタはブラックマンタだ。
なぜこの海域にいるのか。
しかもこんな時期に。
みたいな感じで考察深く楽しむ。
仕事ができる人は趣味が極めているみたいなことを言う人がいるが、そんなの当たり前で、
趣味も仕事も使っている脳の領域は同じだし使い方も同じだからね。
最後にまとめ。
「リゾートダイバーになると、なぜ数年経つと潜ることをやめてしまうのか」のテーマの結論としては、
「リゾートダイバーは、ダイビングスタート時点からダイビングに対する向き合い方と方向性が間違っているのではあるまいか」
以上。
RIO