志賀島の季節が来た。
四月から八月の半ばまでは高確率で潜れるようになるのが志賀島の特徴である。
志賀島はじっくり長く潜れることで有名なポイントであるからして、せっかくなので生物たちの産卵活動を見てみたい。
そのヒントとなるのが、阿部秀樹著「海の生き物が魅せる 愛の流儀」である。
この時期、志賀島で産卵活動が見れる魚はどれだろうと探してみたら、それはヒメギンポであった。
それにしても、阿部先生はよくもまあこんなにたくさんの「愛の流儀」を撮ったもんだと思う。
すごすぎるとしか言いようがない。
海の生物に対して、有り余るほどの愛がないと絶対に無理である。
それにしてもこの本は面白い。
ダイバーであれば一度は読んだ方がいい本だ。
本には写真入りで詳しく載っているので、興味のある人は一読されたし。
(ヒメギンポ編は、THEピーナッツの恋のバカンスを聴きながら読んでくれとのこと)
しかし、世の中には本嫌いの人たちが一定数存在する。(例:ひろし)
そういう人たち向けに、普段僕たちが見ている生物限定で紹介していこうとおもう。
ヒメギンポとは?
浅いところを好むため、P1にいく途中でも普通にみれる魚。
5センチくらいの大きさで岩のくぼみに住んでいる。
産卵活動は春から初夏にかけて行われる。
オスの婚姻色
頭:ブラック
体:派手なオレンジ
尾鰭:ブラック
メスの婚姻色
オレンジの斑紋が強くなる
産卵場所
◉日陰になるような切り立った崖
◉オーバーハング
産卵活動をしているかどうかを見極める方法
せわしなく動いているかどうか
具体的な産卵活動のやり方
1、オスが産卵に適した崖やオーバーハングで激しく動くことで、メスを誘いこむ
2、メスがやってきて、卵を産みつける場所を見つける。
3、小刻みに体を震わせるのが産む合図
3、オスは後方から寄っていき、真横に並ぶ
4、メスが卵を産んだら、オスが一瞬で放精して受精完了
5、小休止(休んでいる時は普通の色に戻る。いわゆるお色直し)
※これを数時間かけて何度も行う
ヒメギンポを見つけ出し、60分くらい崖のところでじーっと観察していれば、見れそうだと思いませんか。
空気残圧と減圧不要限界のことを気にしないでいい水深というのも観察には好都合。
バディダイビングに向いているし、沖が濁って手前が綺麗な時にもいいと思う。
産卵活動が見れるようになったら、産卵する地域にはどのような潮が当たるのか、荒天時にどれくらいうねるのか、四月はここ、五月はここ、六月はここ、と場所を変えていくのか。
そういうことまでわかってくると、ダイビングはさらに面白くなると思うんですね。
ぜひ、お試しあれくさ。
RIO