2本目に行く前にお昼ご飯を食べたいとの申し出がありました。
僕とめぐとふーは濡れた状態のままでしたので、お店に腰かけてごはんを食べられません。
道筋にあった珍しい名前のコンビニで手作りお弁当を買いました。
五百円という低価格でもおかずの種類とごはんの量は豊富でした。
どこで食べるのかを悩んだときに、
ちょうど崎津教会を通るルートでしたので、ちょっと寄り道してみました。
コンバットの表情は今回目のせいで潜れなかったことを強調しているそうです。
突発的なことが起きそうなときは、ドライスーツがいいですね。
濡れた水着を着ているというのは、乳液と間違えて洗浄液を塗ってしまったくらいストレスになります。
湾奥の入江であれば、お弁当の蓋やおかずが飛んでいく心配はありませんので、そこに関してはストレスはありませんでした。
静かな港には猫が多い。全国的にそうなのでここも例外ではありません。
めぐは猫の寝姿をコンバットのカメラでのぞいていました。
かんころ餅を食べながら、ちょっと観光。
僕は石畳が好きです。だから太宰府あたりも好きです。
ここが世界遺産の崎津教会。
畳敷きのめずらしい教会です。そんなことが書いてありました。
窓から覗いてみれば簡単に見ることができます。
そんなことより、猫が好き。
地域猫にはごはんをあげたい。
店長は天草のホームセンターで猫のえさを多めに仕入れていました。
猫ぜんぶで何匹いるんだろう。
そこから、1時間ほど南にくだって牛深にはいり、近未来形のハイヤ大橋を渡って、天草最南端の場所につきました。
この岬の裏側は海中公園です。
どんなに荒れていても必ず潜れるところです。
栄養分豊富な砂泥域ですから、妙見にくらべて生物が多いところでもあります。
エントリーがしやすそうに見えます。
しかし、潮がひいてしまっていると、滑り台みたいに海面に滑り込む必要があります。
ちょっと怖い。
しかし、水面が穏やかだと恐怖を感じづらいのがダイビング。これは素潜りもスキューバも共通です。
透明度がいいとなおさら。
浅ければなお。
潜ったばかりのすぐ下には、めずらしいウミウシを発見。
水深4m。
フジナミウミウシ。
これはほかにも期待できるような気がする。
岸壁沿に泳ぎだしました。
すると、顔がアスファルトみたいなワニゴチがいました。
アジアのジャングルにいそうなとかげにみえます。
サンゴは綺麗に保存されていました。
そこに群れるイシモチの群れは健在です。
しかし、どんどん深くなっていくにつれて生命の力強さが減っていきました。
お目当てだったリュウグウ系ゼロ。オトシゴ系ゼロ。その他ウミウシも少ない。
30分ほど泳いだあとから、店長が耳が抜けないと言ってきたので帰ることにしました。
ちょうどこのとき釣り人のおじさんが僕たちの泡に向かってルアーを投げていました。
水面でルアーを疾走させるおじさんを監視係のコンバットが止めてくれました。
あれは魚じゃないの!人なの!
だからあそこにいくら投げても釣れないのよ。やめておじさん!
ほう。そうかそうか。こりゃこりゃ。間違って人を釣るところじゃったばい。
なんど投げても釣れんからおかしいと思ったんじゃ。狐に馬鹿されたのかと思っておったところじゃ。
あんな風に泡が立つところではブリの子供が釣れるもんでのう。
わしゃ人肉は食べんもんでな。今の時代に人を食べんでもよかろう。
食べれんことはないけどな。
コンバットがいなかったら、危なかったかもしれない。
浅瀬に生命を感じなかった僕はさっさと帰っていましたが、ふーとめぐはその場に残って、いくつかウミウシを見つけていたみたいです。
ハナミドリガイ。スイートジェリーに似ています。綺麗ですね。
ニシキウミウシ。これは体が固くてヒトデみたいなウミウシです。
これは見たかったですね。
なんかわからないけど、可愛いさかな。
最近のマスクと同じで顔を半分隠すと可愛くみえます。
ヨウジウオ。血管浮き出てます。貧血の足みたいです。
潜ったあとは急いで着替えて夕日を探しにいきました。
水平線が西に面している天草は夕日で有名なのです。
前回、ざっきー、だいちゃん、とみーたちと行った夕日スポットに行こうと思ったのですが、18時の日の入りに間に合いそうがなかったので近くの展望台へ行きました。
雲が多くて夕日は見えませんでした。
ほどなくして光が消えていきました。
薄暗さが増してきたので僕が先頭となって駐車場までの道のりにある蜘蛛の巣やらミノムシやらを取り払う役をかってでました。
虫なんか決して得意ではないんですが、ここはツアーリーダーとしてみんなを守らなければいけない。
勇気を振り絞り、両手を頭の上にかざして、慎重に慎重を重ねながら進んでいました。
すると、チカチカとした毒虫の感触を首筋に感じました。
僕はとっさに大声をあげました。Tシャツの首もとを掴んでパタパタしました。僕の背中に入ってはいけないものを取り除くために。
すると、背後からくすくすくすくすと不吉な笑い声の合唱が聞こえてきました。
店長がいたずらで投げたススキの破片が絶妙なタイミングで僕のTシャツに入ったのを4名で楽しんでいたのでした。悪魔の所業です。
こんな性根が腐った悪魔たちは許しておくわけにはいかない。そう思った僕は一目散に坂を駆け下りて、車に飛び乗り、(たまたまこのときは僕が車のキーをもっていました)このヒトデナシたちを置いて帰ろうと思いました。
夜行性の蚊に喰われて貧血になればいいんだ。いのししたちのうんこで嗅覚を失ってしまえばいいんだ。
僕の使い古したビーサンの先端がでこぼこのアスファルトの一部にひっかかって、全力疾走状態から前のめりに転んでしまいました。
75キロある全体重は、膝だけでなく左手と右足親指もやすりに削り取られてしまったようにえぐれてしまいました。
僕はそのせいで楽しみだった下田温泉には入れませんでした。
それだけでなく、みんなが非火山性温泉で肌をすべすべにしている間にでっかい蚊に喰われてしまいました。
その蚊はなぜか、献血をする場所でもある肘の真裏を吸っていきました。
悪魔であるしるしをつけていくように。
温泉ですっきりした一同を連れて、本渡にある居酒屋にいきました。
食べたかったのは、これです。
そう。ウツボ 。
味も食感もほとんどうなぎです。
ウツボ の天ぷら。
これもうなぎ 。うなぎのてんぷらなんて食べたことないけれど。
意外に美味しかったのは、シロサバフグの天ぷら。
毒がないことで有名なフグです。
カナトフグとも呼ばれます。
食べ終えたころは20時過ぎでしたかね。
本渡のメインストリートにある商店街はホワイトノイズも聞こえない静謐な空間でした。
こんな静かなところだったストレスもないのになあ。
帰り着いたのはAM1時を回っていましたが、たのしい旅でした。
たつぼうは絶対に行きたかったんでしょうね。
残念でした。
また今度。
RIO