僕は知らなかった。
台風の日はタクシーが予約できないことを。
ようやくここまで漕ぎ着けたというのに最後の最後でこれだ。
このツアーは何かに取り憑かれているのだろうか。
もし、明日の朝5時にタクシーを捕まえられなかった場合、大荷物を背負って空港まで歩く羽目になる。
ずぶ濡れになることも容易に予測される。
最悪、空港まで車で行くこともできるが、それだと空港近くの有料駐車場に「三泊」ほど停めなければならなくなる。
このツアーは極限まで安い価格設定をしているため、これ以上経費をかけるわけにはいかない。
そのとき僕は思いついてしまった。
誰かに空港まで送ってもらえばいいということを。
さて誰だろう。
サンライズに家が近くて、時間の融通が聞いて、台風でも運転がきちんとできる人。
そんな人は一人しかいない。
ふーみんである。
時刻はすでにPM11時を回っていた。
一か八かラインをしてみる。
すると、二つ返事でOKをもらった。
なんていいやつなんだ。
これは知床からハガキの一通でも送ってやらなければなるまい。
(実際に送った。内容は内緒である。)
朝6時、ふーみんに送ってもらって、空港に着いた。
笑顔でふーみんは帰って行った。
なんていいやつなんだ。
空港の中は人はほとんどいなかった。
雨の中、徐々にRIOチームが集まりだす。
僕、はまちゃん、ちゃんまりの3名がRIOグループ。
RIOグループはみんなとは違う乗り継ぎで知床を目指す。
ツアーの予約するのが遅かった二人は僕と同じ便。
福岡ー東京 はスカイマーク。
東京ー新千歳はJAL。
新千歳ー中標津はANA。
まさかの3社乗り継ぎコースである。
店長御一行様は全便ANA。
しかし、ANAは福岡の天候と同じく、欠航の「嵐」となっていた。
風で飛ばないのではなくて、機体が福岡に到着してないようであった。
この時すでにキャンセル待ち90人。
飛ぶのか、飛ばないのか、やきもきしている前田グループを横目に僕たち3人は一足早く羽田空港に到着することができた。(台風の時はスカイマークがおすすめかもしれない)
大将さんは東京から乗ってくるので欠航はない。
この時点では、僕とはまちゃんとちゃんまりと大将さんの4名だけのツアーもありえる話。
AM8時ようやく飛ぶことが確定した。
ふじこ、ラム、朝顔、ザッキー、前田店長。
ほっと一息の瞬間である。
実は、朝の便は4機しか飛ばなった。
乗れたのはほとんど奇跡。
もし、欠航になっていたらキャンセル待ちで午後から飛ばなければならない。
それだと東京からの乗り継ぎの便もキャンセル待ちとなる。
そうなっていれば、知床到着は1日伸びていたことだろう。
待ちに待った知床ツアーを楽しむ時間が短くなってしまうのは避けたかった。
このツアーはとにかく福岡を出ることが最重要課題だったのだ。
乗れることは確定したが、前田グループの飛行機は15分出発が遅れた。
中標津行きの乗り継ぎ時刻がギリギリになることが予想されたが、同じANAなので心配はない。
しかし、店長はRIOグループの出発時から福岡空港にいたので、早く出て欲しかったに違いない。
雲の上は晴れ模様。
ツアー前前日、RIOグループのJAL便が欠航。
幸いなことにスカイマークで取り直すことができた。
ツアー前日、突然前田グループのANAが欠航。
幸いなことに乗り継ぎに間に合う便を取り直すことができた。
変更、変更の連続で「ただ今電話が大変混み合っております。少々お待ちください」というアナウンスをトータルで3時間くらい聞いた。
やれやれツアーである。
僕はツアー前日、業務用の風呂専用洗剤で水垢だらけのバスタブを洗った。
そこにたっぷりと新鮮なぬるめの湯を張った。
バスタブの縁に飾ってある金のシャチホコに水をかけた。
そして、目を閉じて祈った。
飛行機が無事飛びますように。
そして、シャチが見れますように。
順調に乗り継ぐRIOグループ。
新千歳空港は急ぎ足で通り過ぎ、すぐさま中標津空港行きのプロペラ機に乗り込む。
RIOグループ、予定より30分遅れで中標津空港に到着。
台風とは無縁の天気。
気温30度。
知床とは思えない暑さであった。
到着後すぐにちゃんまりが「顔はめ写真」を撮ってくれとお願いしてきた。
ただいま🎵中標津!!はちゃんまり心の声だったのだろう。
ちゃんまりのテンションが高すぎるのか、不思議な写真が撮れてしまった。
ちゃんまりは自分のフィン(ゴムフィンだから重い)を僕のカバンに突っ込んで、自分の荷物を軽くしていた。
わしゃ羽化する前のセミか!
そんなこんなで、みんなを待っている間、ソフトクリームを食べたり、立ち読みしたり、だべったりすること1時間30分。
前田グループwith大将さんが到着した。
たいちゃんとは2020年2月の家康で潜ったとき以来の再会である。
流行り病のせいでダイビングはおろかちょっとした旅行にも行けなかったとのこと。
三年振りのダイビングにちょっと緊張気味のたいちゃんであった。
今回はレンタカーは2台借り。
本当は10人乗りの車が良かったのだが、借りられなかった。
知床は観光ハイシーズンなのだ。
ちなみではあるが、前回の行った冬のツアーに比べてレンタカー代は2.5倍倍増し。
見た目は庶民派だが、高級レンタカーなのである。
中標津の街で遅めの昼食。
選んだお店は北海道と東京で展開するチェーン店
このビールはマジで美味かったと思う。
ふじことたいちゃんが会うのは何年振りなのかわからなかったけれど会話ははずんでいたと思う。
僕は「インカの目覚め」というジャガイモのフライを食べた。
これはサツマイモなのか!と思うほど甘みが強かった。
これを食べたとき、ほんとうに北海道にきたんだなと実感したのである。
僕たちのテーブルは会計を済ませたので、同じ敷地内にある「スーパー」に向かった。
東部サウスヒルズという名前のスーパーだった。
食料品と日用品と衣料品が売っていた。
フードコートとゲーセンもあった。
平屋の店舗だったのでだだっ広かった。
さすが北海道だなと思った。
けど、足腰の弱い年寄りは大変だなと思った。
もしかしたら、北海道の老人は慣れているのかもしれないけど。
僕は特に買うものがなかったので釣りのゲームをした。
大物が釣れて大当たりしてしまったので、地元の子供にコインをあげた。
はまちゃんは上着を忘れたらしくナイロンのパーカーを買っていた。
サンライズのツアーはいつもこんな感じでゆるゆる進んでいく。
中標津の街を出て走ること1時間。
知床ダイビング企画に到着した。
あらかじめ送っておいたダイビング器材の確認をおこなう。
倉庫内の懐かしい風景。
スタッフ用のZEROドライスーツが並んでいた。
ここで見るZEROのドライスーツはめちゃくちゃかっこよく見える。
申し訳ないが、モビーもワールドダイブもアクアラングも知床には全然合っていないのである。
ZERO以外のスーツは、どこか軟弱というか、腰抜けというか、ひ弱というか、とにかく頼りなく見えてしまう。
こいつは本当に俺を守ってくれるのか?俺を無事に生きて帰してくれるのか?
(前回の知床ツアーで僕のモビードライのファスナーが壊れて水没した。水温−2℃)
やはり、全幅の信頼をおくことができるスーツはZERO一択なのだ。
関さんと三年振りの再会。
以前より体が絞られていて、ダンディなおじさまになっていた。
前回ガイドしてくれたスタッフの方が謎の病気で欠勤しているとのことで、関さんがガイドアシスタントをしてくれることになった。
明日のダイビングに向けて、よねまるのディナーで英気を養う。
ここのご飯は本当に美味しい。
でも、風呂は22時までに入ってくれ。
Vol.2に続く。
RIO