そろそろ浮遊系の季節になってきました。
浮遊系の王様といえばクラゲ。
クラゲの王様といえばミズクラゲ。
まずはミズクラゲのことを考えていかないと浮遊系のことなんかわからないと思うので、
今日はみんなでミズクラゲのことを考えてみたいと思います。
ミズクラゲは北海道をのぞく日本各地に生息しているクラゲ。
日本人には馴染みが深いクラゲということになります。
体は無色か乳白色。
円盤状の傘に馬のひずめみたいな形をした「生殖腺」が見られます。
生殖腺が乳白色だとオス、ピンク〜むらさきだとメスです。
でも色合いが微妙なので、慣れないと見分けることはできません。
その場合は口腕を見てください。(口腕はクラゲの裏側についているリボンの形をした部分)
オスは4本の簡単なリボンに対し、メスは複雑に重なり合った派手なリボンをしています。
これで完璧に見分けられますね。
ミズクラゲがわんさかいる港に行って、メス何匹、オス何匹と数えていけばとてもよい暇つぶしになります。
これはオスかな?メスかな?
ミズクラゲの一生を見ていきましょう。
春から夏にかけて生殖期を迎えます。
オスが放精しますとメスの保育嚢の中で卵を受精させます。
卵が大きくなると「プラヌラ幼生」となり、メスの保育嚢から離れて浮遊を開始。
やがてプラヌラ幼生は岩に付着します。
すると体を変えて「ポリプ」となります。
ポリプはイソギンチャクのような形をしており、触手をつかってプランクトンを食べます。
成長したポリプ(1mm~2mm)になりますと、自分の分身を作って無精的に増える特徴があります。
水温が下がり15℃くらいになりますと、ポリプは体が縦に伸びてきてくびれができます(ストロビラ)。
くびれはお皿が重なったみたいに変化して20枚くらいまで増えて触手はなくなります。
お皿は「エフィラ」と呼ばれるクラゲの子供になる準備に入ります。
エフィラはひとつひとつ順番に離れていき、本体はどんどん短くなっていきます。
エフィラが全部離れてしまうと、本体の方はなくなってしまうんだろうと思いますが、
そんなことはなくポリプは再び触手を復活させて季節が巡ればクラゲを作る準備をします。
ということは、クラゲのポリプは不死身ってことだから、倍々ゲームで増え続けるというわけです。
クラゲってうさぎよりも増えるの得意なんですね。
でもクラゲは魚や海洋生物の「エサ」ですから、このくらい増えていかないと生態系が保てません。
そして、エフィラ(クラゲの幼生)は盛んにエサを食べて成長します。
エフィラ時代は「ギア」みたいな形をしていますが、メタフィラ(クラゲの成体への中間)になると、
八角形になります。
成体になりますと、まんまるになり、雌雄がはっきりとわかれていくというわけです。
ちなみにですが、ミズクラゲは触手が短く毒が弱いことで有名です。
ということは、生物からしたらさらに食べやすい種ということになりますね。
がんばれミズクラゲ!
RIO