誰よりも働かずして稼ぐことを考える。
誰かを蹴落としてのしあがろうとする。
誰かを騙して財産を奪い取ろうとする。
誰かの払った税金を自分たちのために使い込もうとする。
現代の日本人は楽してお金を稼ぐことを中心として人生を設計する人が多くなったと思う。
それが現代における美徳とでも言わんばかりにネットもテレビも制作されているし。
それにしても必要以上にお金を稼いでその先なにがあるんだろう。楽の先にはなにがあるんだろう。
そもそも欲しいものなんて無限に湧き出てくるものなのだろうか。
暇な僕は(絶対無理だろうけど)1兆円をもったと仮定してみる。
まずは雰囲気のいい温泉地に行くだろう。
とはいえ、遠出旅行があまり好きではないので日帰り温泉が主体となる。足を伸ばしても佐賀、大分、熊本まで。
好きな作家の新刊が出れば買う。そんなしょっちゅう出ないけどね。
オニツカの新作が出たら買う。もちろん自分に似合っているやつだけ。
美味しくて新鮮な発芽玄米と魚を食べる。魚をさばくのが苦手なのでパックに入ったものがベター。
外食ばかりじゃ落ち着かないのでやっぱりパックのものがベター。
市街地を1〜2時間ランニングする。
疲れたらマッサージを受ける。
そんなものかな。
だとしたらそれほど今の生活と変わりがない。
ローソンと松屋のバイトをかけもちしたくらいのサラリーでいけちゃうレベルである。
ちなみに僕はお金が無限にあってもプライベート温泉リゾートみたいなものが欲しいと思ったことは一度もない。
その日の気分に合わせて温泉地を選んでいきたいし、その温泉地に集まる地元の人の話を小耳に挟んでいきたいからだ。
飽き性だから引っ越しが好き。だから持ち家も分譲マンションも邪魔なだけ。荷物も少ないので1LDK十分。
高級衣料のシュプリーム、メゾンマルジェラ、コムデギャルソンみたいな服は根っから嫌い。市販の発芽玄米なんてどれ食べたって一緒。
あと10年もしたら日本全土で自動運転になってしまうことが判明しているのだから個人的に乗る車には興味がわかない。
若いころと違って、好みというのは限定されつくしてしまっているのだ。
だからサンライズをやっていても必要以上に儲けてやろうなんていう気持ちがちっとも湧いてこない。
店舗拡大にも多角経営にも、色気づいた女子校生が縄文期の歴史を勉強するのと同じくらいぜんぜんやる気がおきない。
そんな時間があるなら好きな本を読んだり、好きな人たちと潜るダイビングに使いたいと思ってしまう。
曲がりなりにも経営の責任者なのだからそんなことではいけないと思うのだけれど。
唯物的なものにはそれほど興味が湧かない僕ですが、反唯物的なものにはけっこう興味があります。
その代表的なもののひとつにサンライズが面白い人たちの集まるお店になって欲しいというのがある。
面白いというのは誰かを楽しませたりする落語的なものではなくて、事物や事象を正確に判断するために身銭を切れる人のこと。
地べたから材料を獲得し、賢人のごとくソリッドな思考を立ち上げそれを元手に創造性を伸ばしていける自己革新力を身につけた人のことです。
そんなひとたちに囲まれて、既成概念から大きく外れたダイビングを楽しんでみたい。いつもの海を違った角度から見てみたい。
先鋭的なアイデアを生み出したい。誰かと比べて勝った負けたではなく目にも鮮やかな自分だけの気づきを得たい。
これは僕の夢だ。
世界一透明度のいいところにいったからといってできるわけじゃない。
マンタやジンベエといった大型生物が見れることも重要じゃない。
一緒に潜るひとたちが最も重要なのだ。
ダイビングがもともと他人と楽しむように設定されているので一人では到達できない。
そういった面でも努力しなければならない。
けれどもそのために必要な養分を蓄えることはぜんぜん苦にはならない。
まあ面白いことは誰だってがんばるよね。
そんなもんだ。
〜移動〜
行きがけは優しい大さんが運転手。
笑顔が素敵。やっぱり男も笑顔が大事。それは最近よく思う。
後列には恥ずかしがりのあすかが乗る。
なんでうつすんですか。うつさないで。
ハイエースのエアコンは順調に効いている。
一安心である。だって僕は3列目の席に座って長崎まで行くんだから。
大村湾SAに着く。
もあっとしている。この蒸した空気はどこからくるのだろう。
写真ではまったく伝わらないのが不思議。これは秋の写真だといえば秋にも見える。
あすかと店長のダブルハートマーク。
ここは誰がいったか知らないが恋人の聖地。
今回は80mmのレンズをもってきた。
ふたりの何気ない表情が引き立つ。
でも80mmだと全員を写すににはかなり離れなければいけない。
でも背景はそれなりにボケる。カメラをもって歩くと退屈な日常がちょっとだけ気にならなくなる気がする。
五輪にちなんで撮ってみたけどこの人五輪に興味なし。
僕も興味なし。
〜ブルーアース長崎〜
ひさしぶりの平野さんは相変わらず元気で優しい。
こういう性格を持った人と会えば誰だって話したくなるもんだ。
あすかが財布をコロッと忘れてもガミガミ怒らないでくれるんだから。
めんべえはそのお礼。
ニコニコ。
昨年に降った大雨で崩れた斜面を補修中。
日本の法律では崩れる前の形に戻すことになっている。
どうせまた崩れるんだろうけどね。それが自然の法律だから。
とくちゃんとはっちが合流。
ふたりは日帰りで帰るから現地集合、現地解散。
今回のツアーではエンリッチ使い放題。
だから使わないと損。
あすかだけエンリッチもってないので少し損。
そのかわりに普通の空気を吸いまくるんです。
8人で3ダイブ潜るわけだからタンクは24本。
軽トラで運ぶ。このとき自動運転車だとどうなるんだろう。
もう暑くて暑くて仕方がない。
ゆっくりしか動けない。南部に住んでいるタイ人みたいに。
おろさなければはじまらない。
でもなんだってやってりゃ慣れるもんだ。
先客ダイバーはちらほらいた。
〜はっち、とく、店長ガイドの1本目〜
東口から入る。
水深が浅いところは水温が30℃あった。
高水温の浅瀬で撮っていたのはローソクギンポ。
ほっぺに青い斑点がある。3センチくらいの顔をもぐらたたきのように出し入れしていた。
実をいうとふたりはスランプに陥っていた。
回を重ねるごとに暗くて濁ったところが苦手になっていたのだ。
しかしここは天神パルコのように明るい。魚もおおい。夢中になって写真を撮る。
イシモチ系の魚が群れていた。
動かない群れ。これが多いと前が見えにくくなる。
クマノミがカップルで攻撃してきた。
卵を守っていたのだろうか。それともふたりの仲を切り割く意地悪ばあさんだと思ったのだろうか。
そうなんだ。それは知らなかった。
でもクマノミにやきもち焼いておらんかったみたいです。
水深が8mくらいでも29℃あった。サンゴが心配になる。
サンゴにとって水温が1℃あがるというのは人間の体温が1℃あがるのと同じことだ。
サンゴの適水温は25〜28℃。それ以上になると白くなるのだ。
白いのが続くとパタっと死ぬ。そのあとはサンゴの骨格だけが残る。最後は醜いガレ場となる。
そんなわけで書くの疲れた。
NO.2に続く。
RIO