今回で3回目となる知床羅臼への旅。
1回目はコロナ禍に入りかけの2020年3月。
流氷目当てに組んだツアーだったが、流氷のみならず、クリオネとミズダコの夫婦が僕達の度肝を抜いた。
2回目は2023年のお盆。
夏真っ盛りの知床の海では、クロガシラカレイの乱舞とホタテの軍勢により、
知床のポテンシャルに敬服させられてしまったのであった。
そして5月。
知床では桜が満開で春爛漫の季節である。
こちとら桜のことなんて、すっかり忘れてしまっている精鋭10名。
左から:ザッキー(仕事の時間を犠牲にすることで、万全の状態気分)、店長(フーミンにウサギとカメを託したけれど本当に大丈夫なんだろうか気分)、まゆみ(1秒たりとも無駄にしたくないし食べきりたい気分)、ラム(ダイビング終わったあとの羅臼岳登山のことが気がかり気分)フジコ(見たい生物は完全制覇したい気分)、朝顔(ウインちゃんのことが心配だけど気にしないようにしたい気分)、大ちゃん(うなるような写真を撮って、知床のマリオをギャフンと言わせたい気分)
前:サクサク(大ちゃんと一緒に旅行できて幸せ満載気分)、あやか(勢いで申し込んだけれど本当に知床みたいな辺境地楽しいんだろうか気分)、カメラマン:RIO(江戸時代のことばかりに思いを馳せてしまう気分)
今回の面々は、福岡空港に来るのが早かった。
最も早かったのはざいちゃん夫婦である。
集合時間の90分前に到着していた。
手荷物が多く、満員電車になる前に移動しておきたかったとのことだったが、はやる気持ちもあったのではないかと推測する。
通常、8分後行動のまゆみさんですら、まさかの30分前行動。
「悪いんですか?私が早く来ることが?」
ここで、僕の持論を述べておく。
遅刻が好きな人は、自分だけが得することが大好きだ。
自分がめんどくさいなあ、行きたくないなあと思う時、他人に損をさせることで自分が得をしようとする行動原理が働く。
相手を怒らせてしまったら、表情と声色に工夫を凝らし、赦しを得ることに専念する。
赦しを得た時点で遅刻の記憶は抹消され、何事もなく物事が進んでいく。(と彼女は思っている)
しかし、今回のような旅の場面では、遅刻すると自分だけが損をする。
他人は得をして、自分だけが損をするのは絶対にあってはならないことなのだ。
こういう時は、彼女の行動はアルトワークスのようなターボがかかる。
これは無意識レベルの話だ。
休みの日に限り、早起きしてしまう人と同じである。
彼女が遅刻をしてきた時、僕はちびまる子ちゃんを思い出す。
「な〜にが悪いのさ。あたしゃ眠いのさ。寝かせておくれよ。」
新千歳空港まで2時間40分の空の旅。
飛行機のシートに身を埋め、揺れに任せてうとうしていれば、北の果て北海道についてしまう時代に僕達は生きている。
あやかちゃんは北海道人生初上陸。
豚人間も初。
あやかちゃんは、まだ豚人間になりきれていない。
中標津行きまで4時間の空き時間。
しばしの暇つぶし。
腹が減ったので、飯を食う。
昼間から札幌ビールが飲めるのは長期休暇の特権である。
北海道に来たら味噌ラーメン。
九州ではほとんど食べない味噌ラーメンは新鮮であった。
豚骨に比べるとさっぱりしていて食べやすい。
麺がちぢれていて、味噌との相性は良好。
寒いところで好まれる食味である。
(僕はご飯の上に豚肉がのった丼を食べたので、食べた人の感想を書いています)
食べ終わったので遊ぶ。
ビンテージ感のある操縦席。
これが冬の北海道を走っていたのかと思うと、スイッチを触らずにはいられない。
それが男というものである。
女はそんなものに興味はない。
ロイズチョコレートワールド一択です。
基本、あやかちゃんはチョコジャンキー。
目がそう物語っているではないか。
空港の中にチョコレート工場を見て回る。
あやかちゃんは、飛行機の中でも、「ウオンカとチョコレート工場のはじまり」を見ていたので、現実と仮想が行ったりきたりしていたと思う。
チョコの姿形を見ただけで、味と香りがわかる特殊能力を身につけるため、あやかちゃんは相当な訓練を積んできたと自慢げに話していた。
僕にはこのチョコがどんな味なのか、想像もつきません。
特に、猿が持っているバナナの部分とかね。
この工場はフルオートメーション。
作業員は一人しかいなかった。
昔の工場と違って、閑散としている。
ちょっと悲しい気分にさせられる。
せめて、牧のうどんの厨房レベルくらいはいて欲しい。
チョコレートは遊ぶものであって、食べるものではないというのが僕の持論である。
それはそうと、大ちゃんとサクサクは何をしていてもLOVEだった。
HOKKAIDOはどんな人種の人間も優しく包み込んでくれる。
だから、北海道に行きたくなるのだろうね。
17時15分。
中標津空港に到着。
ホテルのご飯が21時で終了してしまうので、急いでレンタカーを借りてきた。
到着日くらい22時でやってくれてもいいじゃないかと交渉したがダメだった。
知床の人間は自然と同じで厳しいのだ。
ここからホテルまでは65km。
捕まらない程度にかっ飛ばさないと、夕食早食いの刑が待っている。
この人たちは気楽でいいなあ。
途中、海沿いにある標津町の羊羹屋に寄った。
急いでいるのに、なぜ羊羹屋に寄るのか。
誰かの誕生日を祝うためのバースデーケーキを買うためである。
羅臼にケーキ屋はないため、ここが一番近いのだ。
先を急ぐ。
助手席はもちろんネイチャーガイドふじこ。
高速移動中でも双眼鏡は欠かせない。
知床ダイビング企画の事務所に寄った。
事前に送っておいたダイビング器材から必要な荷物を取り出すためだ。
ドライのインナーはかさばるため、器材と一緒に送っておくのが基本である。
大量のプラスティックを使用して作られた、いかにも頑丈そうなトランクケース。
人一人入れそうな大きさである。
中に入っているのは200万カメラ機材一式。
合わせるとかなりの重さになっていると思うが、僕は持ったことがないので、実際の重さはわからない。
本人が持っているところを見ると重そうには見えかった。
皆さんも写真を見て、何kgくらいあるのか想像してみてください。
大阪で仕込んだ運転技術を駆使して19時すぎにホテルに着くことができた。
知床では19時が日没だが、そこから30分くらいはうっすら明るい。
チェックインを済ませて席についても19時30分だった。
日の出は3時30分なので、知床は半白夜である。
まゆみさんが好きそうな丁寧なご飯。
おビールと一緒に丁寧に食べていました。
今回のホテルは「熊の湯」にほど近いところにある羅臼第一ホテル。
すぐそばにはシャケが登ってくる羅臼川が流れており、夜になるとエゾジカとキタキツネがお散歩する閑静な場所にある。
知床についてわかったのだが、お目当てにしていた熊の湯は現在閉鎖中だった。
こちらのホテルに併設されている温泉は、熊の湯と同じ泉質なのにも関わらず、熊の湯にはない洗い場と広い内湯があり、熊の湯の1.5倍広い露天風呂があった。
よねまるだと男女兼用の三人でいっぱいになる風呂しかないので、ホテルを変えて正解だった。
翌日5/17がザッキー51歳のお誕生日。
2時間前の、22時からお誕生日会を行いました。
標津町の羊羹屋さんで買ったホールケーキがものすご昭和。
51歳を迎えた中年真っ盛りなザッキーさんには、サンライズから金のファブリーズと汗ふきシートをプレゼント。
ケーキの6割はザッキーが食べました。
別腹だったそうです。
(僕はイチゴを一つだけいただきました)
ザッキーさんの今年の抱負
何があっても来年まで生きる。
VOL.2に続く