つばさちゃんの素潜り講習は9月10日の唐津から始まりました。
初日は学科とプール講習だったので、1時間30分かけて唐津の施設に出向きました。
留守でした。人気がなく車もいないれっきとした留守でした。
僕たちが朝の8時に集合して、202号線の渋滞を抜け、しかるべきところでハンドルを切り、赤信号でブレーキを踏み、コンビニでお弁当を買おうとも留守には変わりはありませんでした。
そこにあるのは墓標のように立つ海辺の建築物に過ぎませんでした。
やることがなくなった僕とつばさちゃんはあてもなく唐津の観光名所を巡りました。
残暑残る9月はすこし歩くだけでシャツが汗でべたべたになりました。
そんなべたべたの体をエアコンの風で乾かしながら天神へと戻り、サンライズの店内で学科だけ行いました。
結局、できなかったプール講習は日を開けて辰ノ口で行いました。
次の海洋講習も辰ノ口で行いました。
その次の海洋講習も辰ノ口で行いました。
つばさちゃんのくる日はいつも荒れていました。
そして最後の講習も辰ノ口で行いました。
福岡に潜れることはないとすでに承知していたかのようにつばさちゃんは7時15分に博多駅で待っていました。日常の出来事のように見えました。
僕はみんなを乗せて辰ノ口まで運転しました。
ここにくるまでに長距離運転で疲れてしまったので、寝そべって教えました。
つばさちゃんは泳ぎがうまくて、息も長くて、耳抜きも問題なくて、体力もある。
残りの講習をささっと終えることにして、水中写真に専念してみました。
素潜りで写真を撮るのは面白いのですが結構難しいからです。
陸上写真とは違う難しさがあります。スキューバダイビングで撮る写真とも違う難しさがあります。
その理由は、
息を止められる時間制限がある。
動きに制限がでるストロボやライトを持って潜れない。
一瞬で構図を決めないといけないので直感的感性がいる。
生物の動きを予測しないといけない。
生物の生態もしっておかないといけない。
水面にいる時間が長いので潮の動きを考えておかないと漂流する可能性だってある。
そんなこんなの理由から、
スキューバでの撮影に慣れてから素潜り撮影にはいるとスムーズに撮れるようになります。
北風が強かったので西口と中央口を中心に潜りました。
つばさちゃんは1時間以上は素潜りをして被写体を求めて潜り続けていました。
以下、つばさちゃんが撮った写真です。
ライトがないので、光の届く浅瀬で撮影しています。
構図がいいので、光がすくなくても写真として成立しています。
ウミウシに見えなくもない海綿も同じように構図が綺麗です。
動きのあるクマノミみたいな被写体は上級です。なかなかうまく撮れません。
クツワハゼも同様です。
こちらは習った通りに魚の体を斜めに配置しています。岩の斜め加減と相まっていい感じです。
クロホシイシモチの群れは接近して撮っているので、臨場感があります。
ワイドレンズをつけていないときは、群れは接近が基本です。
泡はクラゲみたいで綺麗です。
背景は玄界灘のふかくしずんだ海底を連想させます。
僕も撮ってくれました。
この気配りさすがだと思いました。
つばさちゃんはこの写真はいいと絶賛していました。
このとき僕はロープ の絡みをほどいていました。
僕の体格に見合った潜水士感が出ているということでしょうか。
基本的に構図がいいものが多いのでびっくりでした。
写真は一瞬を切り取るものなので、同じものを同じように撮ってもひとによってはぜんぜん違うものが撮れたりします。
そのひとならではの感覚や生き様が写真の端端からにじみ出ます。そのひとが見ている世界が見えてきます。普段読んでいる本やかんがえていることまで見えてくることだってあります。
僕は人を撮るのが好きなので、陸上のポートレートを中心に撮ってみたいと考えていますが、みなさんはどんな写真が好きですか?
どんなものでもいいので、撮ってみてください。
自分を見つめ直すきっかけになったりします。
知らなかった自分のいいところも見えてきます。知らなかった自分の嫌なところも見えてきます。
隠された真実を垣間見たりします。隠されていなかった真実に目を背けるようになります。
そこが写真のおもしろいところです。
綺麗に撮れている写真でだってかならずそうなんです。写真ってそういうものなのです。
そういえば、つばさちゃんは次回OWライセンスも取るみたいです。
だったら、素潜りとはちがう表情を撮ってみたいと思います。
アクティブな裏にはなにが隠されているのでしょうか。
とっても気になります。
RIO