クサフグの産卵がはじまる1週間前になると、100〜200匹のちいさな群れを作って、産卵場付近を
泳ぐようになります。
この群れは「偵察部隊」と呼ばれ、産卵場の安全を確認が任務です。
(初夏になると、志賀島にも偵察部隊の小さい群れがやってきています。フィンを履く時に見れますよ)
偵察部隊は水中から陸の状態をうかがい、波打ち際で波が盛り上がったとき、その波を利用して、
陸地側に異変がないかチェックしています。
数百匹からなるクサフグの「本隊」はメスを取り巻くように泳ぎ出します。
なぜ取り巻くのかといいますと、メス1匹に対して、オスは50〜100匹の割合だからです。
自分の子孫を残せる確率は1/100と狭き門です。
メスはオスを引き連れ、岸と沖を行き来しますが、オスはメスからはぐれないように必死です。
クサフグは産卵前になると非常に神経質になります。
カラスが産卵場の上空を舞うだけで、産卵を中止してしまうほど、波打ち際を動き回ったり、水中でも違和感を覚えると
群れはその場から移動してしまいます。
そして、オスはメスの体に「噛みつき」、愛を伝えます。(興奮がピークに達するとオス同士でも噛み付くことがある)
噛みつかれたメスは一気に波にのり、水際を目指します。
それに続く取り巻きのオスたち。
いっせいに産卵が起こる瞬間です。
※伊豆半島と房総半島の一部ではウツボがクサフグの産卵を狙いにやってきます。ツボってクサフグ食べても死なないんです。
クサフグの体にうろこがないからできる愛の伝達方法なのですが、メスの身体には「噛み跡」がくっきり残ります。
水中で、噛み跡があるクサフグを見つけてみたいですよね。
狭き門を勝ち抜いた命の結晶は、砂の隙間に守られて、次の満潮時にハッチアウトして、大海原に旅立っていくわけです。
そして、釣られていくわけです😅
くわしくは阿部秀樹著、愛の流儀をごらんくださいませ。
RIO