今日は特に書くことがない1日だったので、たまには「ウミウシ」について書いてみようと思う。
私がウミウシを最初に見たのはおそらく20歳の前半の頃だったと思う。
場所は志賀島の白瀬だ。それは間違いない。
でもガイドさんに教えてもらったそのウミウシがなんだったのか、申し訳ないけれど全く思い出せない。
その頃の私はとにかくクロダイやメジナ、ヒラマサと言った「釣魚」にしか目が向かなかったのだ。
時は流れて30歳。
私はタイとミャンマーの国境近くにあるシミラン諸島のボン島というという小さな島で潜っていた。
ボン島はマンタのクリーニングステーションとして知られているが、その日はなかなか現れなかった。
私は暇つぶしに足元にある石の隙間に目を落とした。
すると、そこには紫色のウミウシがいた。
そのウミウシは一見ウミウシとはわからない風貌だった。
私はそれがどのようなウミウシなのか確認したかった。
躯体を潰さないように細心の注意を払ってすべすべした岩の上に置いた。
そのウミウシはとても美しくとても神秘的だった。
ウミウシを生まれて初めて無心的な意識の中で確認したのは間違いなくあの時だったと思う。
私はお客さんにもその感動を味わってもらいたくて、興奮しながら、
「ウミウシがいるよ」とスレートに書いた。
気がつくと畳3畳くらいのマンタが2枚、頭上をホバリングしていた。
お客さんはマンタを追いかけて中層に浮き上がって撮影を始めた。
私はウミウシをじっと眺めることにした。
とにかくその時はこのウミウシを我が眼で確実に見ておかなければならないと思ったのだ。
それ以来、私はどんなポイントに潜ってもウミウシを探すようになった。
ボン島で見つけたウミウシを見つけたら、必ずと言っていいほど、これはレアなウミウシなんだよとゲストに教えていた。
そのウミウシは50本潜って一回見れるか見れないかくらいの確率だったので、本当にレアだったのだ。
読者諸君はそのウミウシの名前がなんというのか知りたいだろう。
では教えてしんぜよう。
英語圏で作られた図鑑をめくるとこう書いてあった。
英名で「Serpent pteraeolidia」 Serpent = ヘビ pteraeolidia = 学名から
そう!
答えは「ムカデミノウミウシ」である。
ムカデミノウミウシは私にとってかけがえのないファーストウミウシさんなのだ。
ムカデミノウミウシの記憶はどんどん上書き保存されてしまっていたので、このブログを書くにあたって昔の記憶をたどってみました。
参考になれば幸いです。
では皆さんおやすみなさい。