14時20分に上がってきて、BCを下ろしていると、
「お疲れさまでした。14時30分には出航するのでそれまでには準備の方お願いします」と、現地男性スタッフがおだやかな口調で告げた。
僕たちがタンクを交換しているところを静かに監視。
お前ら早くせえよという無言のプレッシャー。
穏やかだけど、せっかち。
丁寧だけど、せっかち。
優しいけれど、せっかち。
九州のダイビングショップにはない雰囲気。
優しくない、せっかち。
怒りっぽい、せっかち。
荒っぽい、せっかち。
これは最悪。
誰だろう?
トイレをあっという間に済ませ、歩くこと2分。
瀬戸内海にあるような小さな港。
小さい平船で10分。
動画はまた今度作ります。
むかいに白良浜が見えてきた。
2本目のポイントは「沈船」
波はない。
風もない。
バックロールエントリーが気持ちいい。
RIO、前田、ふーみん、たつぼうが入る。
海からは、怒りっぽいせっかちが早くしろと言い、船からは穏やかなせっかちがゆっくりでいいですよと言う。
どっちがプレッシャーかと聞いてみたら「穏やかなせっかち」の方ですねえ、とまゆこんぐは言っていた。
水深18m〜19mのところに落ちている沈船。
全長25m、高さ10m、幅6mの沈船。
エンリッチだからゆっくり見れるダイビング。
逆にエンリッチなかったら最悪なダイビング。
純粋な空気だったら、実質40分弱くらいしか潜れないもんな。
そんなダイビングはそもそも危ない。
ロクハン着たふーみんは1本目は寒くなかったけれど、2本目は潜ってすぐから寒かったらしい。
水温16℃ちょうどしかなかったからね。
でも、新品のゼロ製ドライスーツを和歌山に送るの嫌だったからしょうがないよね。
寒いときは「作業」をするに限る。
例えば、砂を掘るとか、砂を寄せるとか、砂を数えるとか。
オキゴンベがいっぱいいるのは、太平洋の特徴だとたつぼうが言っていた。
またもやウツボがいた。探すと10匹くらいは簡単に見つけられる。
こんなにウツボが多いとは知らなんだよね。
これも太平洋の特徴なのか、それとも白浜の特徴なのか。
そんなウツボを食べてみた。
見かけによらず、むにゃむにゃした眠たい味だった。
白浜はウツボが名産だから、白浜特有の現象なのかもしれないね。
後ろにある船室に入る。
全長1.5m、体重25キロはゆうにあるクエ(九州ではアラと呼ぶ)がいた。
一人で見るのもあれだったので、一旦船室からでて、まゆこんぐを連れてきた。
(この時点で全員自由行動中)
ヌオーん。
実際はでかすぎてちょっと怖い。
次に店長を招き入れた後、クエは船内をうろうろしていた小魚を捕食した。
こんな狭いところで、もしクエが襲ってきたら絶対絶命だなと思った。
でも、クエはゆっくりと旋回して同じ場所に腰を下ろした。
このあと、ふーみんを招き入れた時にはすでにクエは奥の部屋に隠れてしまっていた。
(たぶんまゆこんぐがいたずらしてるんだ)
さよならクエ。
ワイドの迫力ある写真は誰も撮れてはいなかったよ。
GOPROでは撮ったけれど、綺麗には撮れてなかったよ。
残念。
でも、一応記念に動画は作っときます。
前側の上部にある船室。
こんなに自由に入っていい沈船は珍しい。
まだ新しいからだろうね。
古くなって崩れだしたら入ったらあかんもん。
こちら前側の下部にある船室。
10人くらいは余裕で入れる。
船室の天井に空気が溜まっている。
ミナミハコフグが逃げ回る。
まじめちゃ面白い。
生物も多かった。
これはテンロクケボリ。
美しいなあ。
この沈船は水深がちょうどいいし、大きすぎないから自由行動してもすぐにバディを見つけられるし、生物もわんさかいて、
これは初心者にとっても、最高の沈船と言っていいんじゃなかろうか。
そして、最後の最後にたつぼうが執念で見つけた
「ピカチュウウミウシ」(正式名称:ウデフリツノザヤウミウシ)
こっちはチビチュウ。
みんな一度は通った船の側面にいた。
ぜんぜん気が付かなかった。
こっちはデカチュウ。
計2匹。
ツノとニジエラを棒みたいな皮膚?で隠しているところと全身イエローがかわいい。
ピカチュウが嫌いな人でも楽しめるウミウシ。
でも、僕はそのころ船に帰ってた。
だから見てない。
エアーが切れそうだったから。
ピカチュウ初めてのまゆこんぐとふーみんが見れたからそれで良い。
僕だってピカチュウ好きだけど、エアーを切らしてまで見なくていい。
もの足りないもの足りないと言っていたこの人は次の日に帰る予定だった。
この人以外は全員次の次の日に帰る予定だったので、翌朝からダイビングできた。
でも、この人を丸一日、白浜に残して潜るわけにはいかない。
レンタカー自由に使っていいから一人で遊んでおいでよ、なんて言えない。
「だいたい、みんな次の日に帰る予定だったでしょ。なんでふーみんさん言ってくれなかったんですか?
教えてくれてたら3連休とったのに。もー! 悩んだんですよ。3連休取ろうかどうか。こんなことなら取れば良かった!!」
個人的には、ここにあと2本は入りたかった。
もっとじっくり潜ってみたかった。
もっと太平洋の生き物たちと触れ合いたかった。
もっと太平洋の塩水に触れておきたかった。
水面に顔を出したら白浜リゾート(THE昭和風)が見えた。
リゾートマンションが遠くから見守ってくれている環境が心楽しかった。
水面に上がってきてからこんなに落ち着いた気分になれるところも珍しい。
これはどこに似ているんだろうかね。
うーん。
今のところ思いつかないなあ。
第三部「観光白浜」に続く。
RIO