気候変動が激しくなる昨今、年々北海道に接岸する流氷が少なくなっています。
昨年2月に行った知床ダイビングツアーでは、流氷ゼロという結果でしたが、
今年は出会えるチャンスがある!とのことで、2月19日に移動して、20日と21日に2ビーチダイビング
22日に福岡へと帰ってくる旅程をとりまして、世界自然遺産知床へと行ってきました。

今回のダイビングツアーは、ダイビングのプロまたはプロ候補生だけで行く勉強の旅。
福岡からですと移動に半日以上かかりますので、移動日はダイビングできません。
そこでまずは、サーモン科学館でお魚の勉強です。

外の水槽が濁っていると思ったら、栄養分豊富な水でした。

北海道は海も川も栄養が多いのです。
だから日本最大淡水魚イトウがいるわけです。

イトウは20年生きる個体もいます。(鮭は大体3年から5年が寿命)
泳いでいる個体を見てみたいと思ったら、サーモン科学館に来れば見れます。
こんなに大きくはないですが、九州では絶対に見れないので見る価値あります。
こちらはチョウザメ。

卵をキャビアにすることもできるし、食べても美味な魚。
食べられなければ50年は生きる長寿の魚です。
歯がないから手を入れても痛くないけど、本気で噛んで引っ張られるとちょっと痛いです。

九州ではみかけなくなってしまったカレイも北海道にはたくさん生息しています。

タッチプールにいるカレイは元気すぎるので、たまに飛び出してきますが、
丁寧に戻してあげれば大丈夫です。
閉館ぎりぎりにいったので、50分くらいしか見れませんでしたが、いい勉強になりました。
その後、知床ダイビング企画に移動して、明日の準備をします。

器材はあらかじめ送っておくスタイルです。
このあたりで知らない人はいない、水中カメラマンの関さんが保管しておいてくれます。
次の日。

ダイビング前に、準備体操がてら朝日を見にいきました。
羅臼国後展望塔へは車で坂のカーブをのぼっていくので、福岡の人は抵抗あると思います。

アイスバーン。

2020年に羅臼にはじめてきたときはこんなに人が多くなかったので、展望台人気ないのかなあと
思っていたのですが、単にコロナ禍だったから人が少なかっただけでした。

後に潜るローソク岩に白い雪の煙が立っているのが見えました。
外にいるだけでこんな寒いのに、水に入るなんてアホです。

そのあと、羅臼の観光船に乗って野鳥の観察に行きました。
見れるのは、主に「オオワシ」「オジロワシ」です。

鳥たちはエサ撒いてくれるの知っているので、船が来るだけで陸から飛んできます。

鳥たちが羅臼にいる理由は、越冬です。
あたりまえですが、ここよりもっと寒いところがあるということです。
温暖化の日本で過ごせて、しかもエサまでもらえるなら毎年必ず飛んでくるのはうなずけます。
鳥たちが魚をとっている海面を見ると、バラバラ流氷が浮いていました。
ここで流氷の成り立ちをおさらいしておきます。
スタートはロシアのアムール川の淡水が海に流れ込むところからです。
海は塩分濃度が下がることで凍りやすくなります。
凍る時に塩分が押し出されながら、淡水に近い状態の水が「氷」になります。
そうやってできた氷が「流氷」としてぷかぷか日本に流れてくるわけです。

羅臼の反対側のウトロにいけば流氷は多いですが、羅臼は少ないです。
なぜなら、ウトロ側は流氷がたまりやすい地形ですが、羅臼は反対側。
知床半島が壁みたいになってしまっていた、流氷が流れてきずらいのです。
せっかく流れてきても羅臼の前は根室海峡ですから、潮が早くて流氷が割れやすくなってしまいます。
羅臼で流氷が見れるかどうかは、その日の風や潮によって変わるということですね。
そうこうしていたら、風が強くなってきました。

陸から海に吹く風なので、いわゆるオフショアの風。
うねりは出なかったものの、立っていられないくらいの強風(風速15m)が吹き荒れ、
末端から冷えていきました。生半可な防寒では死にいたることを痛感します。
暴風により、1時間もしないうちに引き返したので、全額返金となりました。
短くても満足するものではありましたので、半額返金くらいでも良かったかなあと思いましたが。
1本目。
羅臼から知床半島の突端に向けて(右側ずっと海)
15kmほど走った先にある知床世界遺産ルサフィールドハウスのちょっと先がポイント。

そこにはポツンと取り残された流氷の姿がありました。

この流氷の周りを安全に潜り、景観を楽しみ、撮影するのが1本目の課題。
先に来ていたスタッフの方が、タンクをおろしてくれていました。
羅臼のビーチダイビングでは崖になっているところが多いので、降りるのが大変です。
なので現地スタッフさんに手間をかけさせず、ささっと準備して潜るのは全ダイビング共通の課題です。

全員の準備が整い、フィンを履いていると、せいなさんがアンタレスグローブの接続部分から
少量の水が入り込んでいると訴えてきました。
現地のガイドさんがどれどれ、と確認してくれました。
せいなさんは一度手を水に浸けてから持ち上げた後、
水は止まりました。大丈夫ですと言いました。
しっかりはまったはずだし、これまで一度も水なんか入ったことないし、もう大丈夫。
よし!流氷を楽しむぞ。
幸せフォルダー(Googleフォト)作らなきゃ。
あれ、なんか水が入ってくる。もういいや。多分大丈夫。
40分くらいだし。

海藻きれい!!
やば!クリオネやん。
透明度いいしまじでやばい。

ミジンウキマイマイやったかな?
めっちゃかわいい!!!!

大アマモ生えてる!
撮っとかなきゃ。

水温マイナス2.1℃。やばい。

やった!流氷きた!!

綺麗すぎる!

ていうか、ここ5mくらいしかないけど、もう足まで水入ってる。
フィンが脱げそうだけど、まあいいや。
でっかいクラゲ!

(キタユウレイクラゲ)
前田さんの顔より大きい!

浮上してみよ。

❤️❤️❤️

「大丈夫ですか?」
「えーっと、足まで水入ってます」
「えっ?それはおかしいです。接続部からそんなに入るわけないし。ちょっとファスナー見せてください。」
ファスナー開いてることなんてあるわけないでしょ。このトンチンカンのこんこんちきガイド。
「やっぱり開いてますね。1センチほど閉まってませんでしたよ。」
さむい。かもしれない・・
「せいなさんが凍えたら困るから、みなさんそろそろかえりましょうか?」
「大丈夫です!まだ耐えれます」
「え??ほんとですか?」
やばい。まじでさむいかもしれない・・・・・
「みなさん帰りしょう。潜って帰ってもOKです。」
「あたし岸までひっぱるけん、仰向けになってせいねえちゃん」
・・・・・・・
「体まっすぐにしたら、ひっぱれないよ。」
「どいて!俺がひっぱるから!」

現地のガイドさんに急速度で曳航され、フィンとBCを脱がされ、
肩をかつがれ、崖をあがり、ハイエースバンにのせられ、
ほどなくして番屋(休憩する家)へと運ばれていきました。
その姿は救急隊員と救急車に見えました。
番屋に運ばれたせいなさんは自分で服を脱ぐことができないほど体が硬直していましたので、
知床ダイビング企画の常連の女性の方に服を脱がせてもらいました。
でも全部脱がせてもらうのは恐縮でした。
持ち前のアバウトさで「下着は大丈夫です」といって、下着姿のまま熱い風呂に浸かりました。
めちゃくちゃ熱い風呂のはずが、30分浸かってようやく温度を感じることができました。
それほどに冷え切っていたのです。
ガイドさん曰く、あと10分も水に浸かっていたら命の危険もあったとのこと。
妹のまゆみさんが着替えをもって風呂場に入ると、下着で風呂に入っている姿を見て
リゾート気分?と思ったそうです。
風呂から出てきたせいなさんは見たこともないツナギを着ていました。
せいなさんは僕に小声でこう言いました。
「ドライ濡れてるけど、ドライ乾かした方がいいですよね?」
「潜ると?」
「はい!潜りますけど」
「そしたら車からドライ出して乾かしてこんね!」
「はい!」

律儀にアンクルウエイトまで乾かしてました。
まあどっちも乾きませんけどね。この気温じゃ。
せいなさんは2本目のダイビングを中止する、と誰もが思っていたと思いますが、
僕は絶対に潜ると確信していました。
僕以外の全員が「次まじで潜るの!!!!」と驚くなか、
せいなさんは持ち前の甘えん坊さを生かし、色々な人からインナー、靴下、ドライなど借りまくりました。
2本目のブリーフィングを何事もなく聴いている様を見ていると、
この人根性座ってるなあ、令和じゃないなと思いました。

ここで教訓です。
まず、アンタレスグローブの接続部から水が入ったとしても、足まで濡れることはないので、
すぐドライのファスナーを疑うことです。前開きファスナーは防水ファスナーを閉めたあと、
両側から普通のファスナーで蓋をしますが、そのとき逆方向に閉めていくので、防水ファスナーが
開くことがあります。(今回は単なる閉め忘れと思いますが)
あとは、マイナスの水温をなめてはいけないということです。
深刻な低体温症になってしまったら、外からあたためるだけでなく、
あたためた点滴を注入して、中からもあたためないといけなくなります。
2本目は、番屋前から入って、ローソク岩に流すビーチドリフトダイビング。
せいなさんは要注意人物として認定されたので、アシスタントに心優しきあおやぎさんが、
つきっきりで入ることになりました。
でも、遅い。

8分ほど水面で待っているとすっかり手が冷たくなってしまいました。
冷たい海に何度も潜っているとわかってくることがあります。
それは1箇所でも冷える箇所があると、どんなに厚着をしていても、
その部分から体温を奪われることです。

知床ダイビング企画の方はなぜ全員がアンタレスグローブに変えたのか考察してみました。
潜り初めはミトングローブ(5mm)もアンタレスと同じくらい暖かいのですが、
チョロQみたいなもので、一回冷えてしまうと再度温めることは不可能です。
でもアンタレスであれば、いささかでも暖かい空気をグローブに送ることができますので、
温めることは可能です。
しかも上がってから手が一切濡れてないのでかじかみずらくなります。
深場に行くとホッカイロが暑くなるため、ドライスーツ内は寒くないですが、
グローブの生地は薄くなるので寒さ(痛さ)が増します。

どうしようもなく痛くなってくると、
このウミウシがアリモウミウシ属の一種であろうとなかろうとどうでもよくなってきます。

シモフリカジカみたいなちょっと大きい魚に救いを求めるようになってきます。

でも、ナメダンゴを見ると、一定時間寒さを忘れることができるのが不思議です。

この日はいろいろあったので生物少なめで終えました。
最後に、関さんおすすめのアンタレス用グローブをシェアしておきます。

vol.2に続く


