全員よく寝れた三日目の朝。
快晴。
道路の雪も減ってすいすいドライブ。
海はべたっとしていて最高のダイビング日和。
ここから入るの好きだけど、冬の時期はタラバガニの回のダーウィンが来た!のときの関さんみたいに雪をすべっておりていかないといけないから無理。
なので番屋前からエントリーする。
ローソク岩から器材を運んでくるとき、店長も運ばれてきた。
憧れの関さんソリー。
やったー!
こりゃ何時間でも乗っておけるね。
誰でも乗れるものではないよ。
番屋側は満潮で浜が狭いけれどもエントリーは楽ちんスタイル。
こっちもローソク岩と同じで丸石ゴロゴロ。
ざっきーのアザラシスタイルエントリーもこの丸石あってできるものなのだ。
浅いところには美味バフンウニが無数にいる。
こんなに美味しいウニがたくさんいたらそりゃあ漁師さんもやる気でるよね。
志賀島産のムラサキウニは中身少ないしそれほど美味しくないからやる気でらんですたい。
潜ってすぐに、肩をつんつんされたから何事かと思ってみてみたら、だいちゃんのカメラに蓋がされているではないか。
ハウジングの中につけているからここでは取ることができません。
部屋でセットしたとき、確認していなかったみたいだ。
慣れていない環境だとイレギュラーなことをしがちだから気をつけないとね。
4回潜るうちの1本無駄にするのはまあまあいたい。
しかも希少種アバちゃんがでるところに今から行くのだから。
僕の真っ赤なドライが岩に擬態していることにかけまして、
大ちゃんのカメラの蓋をつけたままにしていると解きます。
そのこころは、
どうかしているぜ!
浅いところには付着けいそうが岩に付着していた。
昆布といい海草といい量が半端ではない。
栄養分が半端ではない証拠。
冷たい海の方が栄養分少なそうに見えるけどそんなの勝手な思い込み。
(なんで栄養分が多いのか。平均して水温が低いからだよ!)
このすごさは潜ってみないと絶対にわからない。
リアルとライブに勝るものはないからね。
水平移動した後は深いところに降りていく。
昨日に比べて冷たさに強くなっていた。
人間って環境適応する力が早い。
都会のエアコンに入っていると気が付きにくいよね。
よくみると水玉模様のアバちゃん。
普通は「線」だからかなりめずらしいらしい。
サイズは10センチ。
写真におさめやすいサイズ。
アバちゃんは正式名称でクサウオと同じ仲間の深海魚。
だから目の感じも深海系。
正面も撮って欲しかったけど誰も撮れてはいなかった。
アバちゃんは水深23mの棚の上から、ドロップオフで落ちている崖の壁の水深30mに張り付いていた。
ドロップオフの下は水深50mはゆうにありそうだったから、落ちればレギ凍結&減圧症確定。
極端にさむいところで潜ると減圧症になりやすくなることを覚えているかな。
全員浅瀬でウエイトをあわせていたから、水深20mを超えると一気に体が沈み気味となっていた。
撮影はホバリングをしたまま行うが、フィンキックで立ち泳ぎをしているようではアバちゃんは撮れない。
ピントがあわずにブレブレの写真になってしまう。
オーバーウエイトであっても、一瞬でホバリングできる技術が必要なのだ。
今回は棚の上で一旦全員集合して、2人づつ崖に降りて、アバちゃんを2分見る作戦だったから、ひとり1分しか見れない計算。
中性浮力を瞬時に作り、ライティング行い、ピントを合わせて、構図も考えて撮影するのに1分しかないのは、なかなかハードルが高い。
だいちゃんは一眼ぶらさげアバちゃんを見ながらこうつぶやいたらしい。
「たまにはじっくり生の生物を見るのもいいよね。」
棚の上にいたのはニッポンヒトデ氏。
九州のダイバーは誰も知らないヒトデだと思う。
砂に潜っている貝を食べるから漁師さんに嫌われているらしい。
この海なら貝も相当多いと思うからそれほど嫌わなくてもいいんじゃないかなと思うんだけど。
見た感じキヒトデに似ているけれども詳細が違うからおもしろい。
これはフサトゲニチリンヒトデ氏。
大きくて迫力があるヒトデは寒い海にもいる。
マンジュウヒトデに似ているけれども詳細が違うから面白い。
見慣れない色のギンポを発見。
種類はよくわかっていないらしい。
新種かもしれないと関さんは言ってたが、ほんとうに新種なのかもしれないので次回確認したいところ。
見た目と動きはオオカズナギみたいだけど詳細が違うから面白い。
トガリテマリクラゲを見ながら安全停止。
髪型がツインテールであどけない印象のクラゲだね。
トガリテマリクラゲは深海にいるクラゲ。
羅臼の沖は根室海峡。
水深が2000mもある。
だから普通に深海魚が出てくる。
こんなダイビングポイントがすぐ目の前にあるなんてうらやましすぎる。
僕はざっきーがもっていたマクロレンズが欲しくなった。
だって、アバちゃんすらも綺麗に撮れないんだもん。
ただし、インスタ360エースプロ2用のマクロレンズはいまだ発売されておりませぬ。
45分後1本目終了。
陽キャあやかっぽは雪にダイブ。
汚れてるけど実際汚れないのが素敵。
雪は暗くて寒い冬に遊び心を運んできてくれるからすごい。
陰気な福岡にも降ってほしいと願うばかりです。
ドライスーツは、ヒーターの入った倉庫に干す。
外に干したら凍ってしまうから。
休憩中。
お土産を買いに行くことで今後予定の時間節約をはかる。
羅臼道の駅では、ふーみんがカゴいっぱいにおみやげをつめこんでました。
羅臼昆布の赤葉(両サイド部の柔らかいところ)ばっかりやないかい。
いい出汁がでるやないかい。
ざっきーは激安のカジカを実家に送りました。
一番美味しいのはギスカジカだけど、これはシモフリカジカです。
魚は14時ごろ届くので、このときはまだ魚は少なかった。
地元がここなら毎日にでも食べたいスケトウダラ、略してスケソは売れ残っていたから不思議。
180円で売れ残るってどういうことですか。
美味しくないのかしらん。
2本目はローソク岩から潜る。
ざっきーのアザラシエントリーも板についてきた。
ふたりがかりでせっせと準備。
女子チームも手伝ってもらい放題、甘え放題スタイルが板についてきた。
すいません。
知床最後のダイブはフサギンポの坂にいってもらえることになった。
あそこはぜひ一度は行っておきたいお気に入りの場所。
クロガシラカレイくんもうなずいていた。
とっても静かに。
冬は性格が変わるのかな。
岩の間にはクロソイがいた。
福岡にいるソイはムラソイだけだからなんか新鮮。
カジカとカサゴとソイとアイナメの種類は、カレイ、ベラを同定するより難しいかもしれませんね。
女子ダイバーは人の頭の上に降ったり、ガイドの顔を蹴ったりしながら、団子三兄弟になっていたみたい。
たまにはこんなダイビングもいいよね。
彼女たちがおしくらまんじゅうしながら見ていたのはたぶんこの魚。
成魚ナメダンゴくん。
ナメダンゴくんはどんな気持ちで人間たちをみていたんだろうね。
チビナメダンゴくんはトラウマにならなければいいね。
ナメダンゴは撮り方によって表情も見え方も変わるのでおもしろいね。
納得のいく正調ナメダンゴが撮れたら額に入れてリビングに飾った方がいいと思う。
坂の方に移動するとミズダゴが岩の上にたたずんでいた。
ゆっくり動いて砂地に鎮座。
60センチくらいの若い個体。
再度岩の上でたたずむミズダコ。
こんなにはっきりと全体を見たのは初めてだったからかなり驚いた。
でもこれ以上近づきたくない。
今は動きが鈍くなっているっていったって、顔にくっつかれたら一巻の終わりだからね。
くっつかれたらどう対処するか、どうなったら本気で危ないか、生物の知識を知ることで自分の身も守れるのでちゃんと勉強しておこう。
だいちゃんが1本目であほうなことをしてしまったせいでアバちゃん撮れなかったので、アオヤギさんとだいちゃんだけアバチャン撮りに深場にいく。
他のメンバーは上の棚で待つ。
みんなで行ったらだいちゃんの撮る時間が短くなってしまうからね。
減圧症のリスクを減らす観点からもそれがベストな選択肢。
だいちゃんが撮ったアバちゃん。
1本目は1匹しかいなかったのに2匹いたみたい。
でも2匹一緒の写真は難しい。
ちなみに今回いいなあと思った写真はこれ。
ナメダンゴくんが下手な泳ぎでさまよっているのがよくわかる一枚。
あと、お腹に卵をもったクモガニが体が重くて坂を登れない雰囲気のこの写真。
カニは歩いているときが素敵だ。
お目当てのフサギンポのタイヤに到着。
入れ代わり立ち代わりここに住み着くらしいので、ここは住み心地がいいんでしょうね。
イトマキヒトデなんてはねのけるんでしょうね。
フサギンポは歯がすごい魚。
ナマコ、ウミウシ、イソギンチャクを食べる肉食魚だ。
食べているところを見てみたい。
タイヤの前でじーっと45分のダイビング。
できることならやってみたい。
生物は「食べる場面」と「繁殖活動してる場面」が一番面白いから。
ということは、レオくんは面白い生物に認定してもいいんだろうね。
帰りがけにタラバガニの子供。
めちゃんこかわいい。
見た目がかわいい生物もじっとみておけるね。
これが大きくなってピラミッドをつくるんだね。
ヤドカリだから。
浅瀬に戻ってくると美しい海藻たち。
さっき買った昆布。
ふわふわ漂うクリオネたち。
最後にイクオネを発見したけど誰も写真撮れず。
イクオネは写真家のなかむらいくおさんが名付けたクリオネのこと。
尻尾が矢印の形をしているのが特徴です。
45分でダイビング終了。
いろいろあったけれども予定通り4本潜らせてもらって知床の海に感謝。
ほんとうにこの海はおもしろいので定期的に帰ってきます。
知床の海の神様、次回もぜんぶ潜らせてください。
欲張りかもしれませんがよろしくお願いします。
知床ダイビング企画で器材を洗い、50分かけて標津に戻ってきた。
これは無差別に氷柱で攻撃している様子。
温泉で冷えた体をあっためラストナイトの晩餐会。
生姜焼き用の薄い豚肉を2枚重ねたトンカツと冷凍の餃子と肉じゃがとポテトサラダと鍋には手羽先という献立。
90%非和食。
夕飯はすごい量のカニが出てくるとグーグルマップの口コミに書いてあったんだが、とんかつの間違いだったんだな。
残すと死んでくれた豚のお母さんに悪いので、慈悲深いざっきーがみんなの残したやつを食べてくれた。
そのせいでざっきーの腹が豚さんみたいになった。
頑張ってくれてありがとう。
こういうことがあるから、ツアーにはざっきーはいないとだめなんだな。
そして、45分かけて知床ダイビング企画に戻る。
「この犬はね。毛がほとんど飛ばないことだけが唯一素晴らしいところなんだよ。水中カメラマンにとって細い毛が舞う部屋は致命傷だからねぇ」
今回、生意気にも関さんに水中写真を見てもらい採点してもらいました。
採点結果を要約しますと、
コンパクトデジタルカメラで撮った写真は点数をつけずらそうにしていました。
点数どうこうというより「コンデジでもまあまあ綺麗に撮れるもんなんだなあ。進化したなあ。」以外に感想がなかったと思います。
でも、僕が「で、何点をいただけますか?」としつこく聞くもんだから、ちょっと上乗せして点数をつけてくれた感じですかね。
店長曰く、「ただ普通にピント合わせて撮っただけの写真は採点なんかできないでしょうもん!」
(店長は確信をついたことをずばっというからすごい女だ)
では、作品写真とそうでない写真の違いはここにあるんでしょう。
「どんな意思で撮影していたのか」
「なにを表現したいのか」
これがあるかないかで決まるわけですね。
たまたま綺麗に撮れることもあるけれど、「で、これはどういう意図で撮ったの?」って聞かれて、答えられなければ、
綺麗に撮れた「作品ではない写真」ということなんでしょう。
逆に意図して撮っても綺麗に撮れていないと「作品ではない写真」になるんでしょう。
コンデジは慣れた環境で撮影しても作品になりにくい理由は、ピントを合わせて構図を考えて撮るくらいしかできないからです。ライティングもライトのみですから、みんな同じような写真ができあがりやすいのが特徴です。
デザイナーはクライアントの要望に応えるためかっこいい作品を作る人。
アーティストは自分の内側から滲み出てくる感情や感覚に応えてかっこいい作品を作る人。
どっちもクリエイターだけど、僕はアーティストにあこがれますねぇ。
関さんはデザイナーであり、アーティストでもある写真家だと思います。
せなこんぐもある意味アーティストになりたい一人。
だからサインをもらいたい。
ミーハーなこの人も実は音大出身のアーティスト志望。
だから背中にサインをもらいたい。
女子もいろいろ。
男子も色々。
またお邪魔します。
1日の終わりに熊の湯にいく。
羅臼からウトロに抜ける山道は通行止め。
1.5mくらい雪が積もっていた。
これが全部解けるのは5月くらいかな。
熊の湯に初めて入る人たち。
男湯も女湯も貸切状態。
みんながお風呂に入っている間、僕とだいちゃんは景色を撮ってました。
雪は夜でも綺麗。
50分かけて標津に戻ってもまだ終わらない。
ログブック書き。
そういえば、買ったらいくらするんだっていう天然の鮭とばを関さんにもらってたんだった。
ものすごい量。
こころしずかに食べる。
硬い。
知床ダイビング企画で何ヶ月も干していたやつだから、噛めば噛むほど味が出る。
一回焼いた方がいいけど、この宿では焼かせてもらえない。
寝る。
vol4に続く。
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