土曜日のプール講習はインストラクターふーみんにお任せして、体調を万全に整え、
夜の8時、熊本県は「水俣」へと向かいました。
参加者は、インストラクター3名、ダイブマスター1名、マスタースクーバダイバー2名の合計6名。
徹夜確定のこのダイビングは「ミッドナイドダイブ」と称しており、午前1時からダイビングがスタートされます。
今回の目的はタツノオトシゴのハッチアウト。
ハッチアウトとは「孵化」のことです。
オスのお腹で育てられた、ちっこいタツノオトシゴちゃんを海中に放出する瞬間を見ようというわけです。
0時30分、湯の児温泉前の駐車場。
現地のガイドさんと合流してブリーフィングを聞きました。
ハッチアウトする前にヒメタツ(僕らが普段、玄界灘で見ているタツノオトシゴは90%ヒメタツという種類です)
を脅かしてしまうと、ハッチアウトしなくなります。
ハッチアウト行動が始まるまでは、わたしひとりで見張っておきます。
ハッチアウトが始まれば、30分かけて数匹づつ放出していきますので、みなさんを呼びにいっても十分間に合います。
その間、わたしの設置したライトの光が見える範囲でバディ同士遊んでおいてください。
潜水時間はマックス70分です。
水深は平均5mです。一番深くても12mくらいなので、エアーが切れることはおそらくありません。
大潮の夜が一番見れると世間では言われていますが、ここでは潮は関係ありません。
ヒメタツの気分で産んだり産まなかったりしますが、昨日も産んだので、おそらく今日も見れると思います。
このお店ではヒメタツの個体を識別しているので、どのヒメタツが産みそうなのかわかるらしいです。
チャンスはAM2時前後とAM4時前後。太陽が出てくると産まなくなるとのことでした。
今回僕が想像していたのは、
まっすぐに伸びたごろた浜のビーチ。
浜にみんなでタンクをえっさえっさと運んで、まっくら闇の器材セッティング。
エントリーしたら、なだらかな小石の坂を降りて行き、
水深5mくらいのたいらな海底に藻がたくさん生えている場所で、孵化の瞬間を待っている。
でも実際は、
コンクリートで舗装された護岸でセッティングして、エントリーはこれ以上ないほど入りやすい階段(牡蠣、ウニはゼロ)から入り、
堤防の際の、斜めに積まれた石積みに生える海藻でハッチアウト観察。
イメージとはかなり違うものの、ナイトダイビングのしやすさレベルは100でした。
しかも、背後に立っている旅館やホテルはすでに廃墟になっており、エアー音を出しても文句は言われません。
シャワーを浴びたり、着替えたりする施設まではないので、「ドライスーツしばり」でした。
水温は21度なので、薄着インナー&ドライスーツでちょうどいい水温なのですが、
気温が高いので軽く汗ばみます。
いざ入ってみると、水温が24度くらいありました。
水面を泳ぐと、体がもわもわと暑くなってきます。
待機場所は堤防の中。
透明度も水温と同じくモワモワしていました。
エントリー直後、一瞬、目の前を何かが横切りました。
型のいいスズキでした。
ライトに寄ってきた小魚を活発におっていました。
こんな大きなスズキが元気いっぱい食べているのを見たのははじめてでした。
スズキは内湾を好んで生息します。
福岡にもスズキはいるのですが、博多湾に多く生息しているため、普段潜っている場所ではたま〜にしかみることができません。
しかも、昼間に見るスズキはぼーっとしていて、死んだ魚の目をしているので、この光景には驚きました。
海底付近には小魚があまりこないので、表層付近をうろうろしていました。
表層には、浮遊系と呼ばれている生き物たちもいました。
1cmトビウオの子供(羽が体に対して大きくてかわいい)
1.5cmヘラヤガラの子供(一瞬、ダツに見える)
8mmコウイカの子供(墨はいて逃げます)
2cmクラゲ(小さいので種類はよくわかりません)
これは、チョウチョウオの稚魚。
阿部さんならどんなふうに撮影するのかな。
このポイントにいる危険な生物はカギノテクラゲです。
海底に生えている海藻にひっついています。雰囲気は海底にいるハナガサクラゲに似ています。
素手でさわるとちくっとします。
これ以外に危ない生物はいないので、グローブさえしておけば安心して潜れます。
海底は水深7m。
どろっとした砂地です。
型のいいヨウジウオがいました。
眠たいのか、ぜんぜん逃げませんでした。
ヒメイカもいました。
世界一ちいさいイカとして有名です。
ウミナメクジもいました。
ナメクジとはいうものの、ほぼアメフラシです。
ここでは誰にも邪魔されずにゆっくり写真が撮れます。
フォトダイバーにはもってこいです。
しかし、フォトダイバーではない僕は時間が経ちません。
ダイコンをみるとすでに53分経過していました。
ガイドさんが設置したライトの前にいっても、やっぱりガイドさんはいません。
「まだかな〜」
「待つしかない」
仕方なくタコさんと一緒に待っていると、ガイドさん帰ってきました。
「ハッチまだです」
が〜〜〜ん😫
自然のことなので、仕方がないです。
すでに10回以上見ている元気なチャガラを見て浮上しました。
1時間ほど休憩して、2本目は堤防の外側で待機しました。
ここは石積みに沿って斜めに落ち込んでおり、水深12mまで降りると、水底は砂地でたいらでした。
石積みに生える海藻でヒメタツの子供を見つけることができました。
さっきのところではほとんど見つけれなかったので、カメラもっている人たちはいっぱい撮ってました。
赤っぽいヒメタツもいました。
ヒメタツは皮弁(魚の体にある皮膚が変化した突起物のこと)の数や形、体色までもがらっと変化します。
あれ?ハナタツかなと思っても、ヒメタツであることがほとんどらしいです。
タチウオがライトにアタックしてきた直後、
30分もしないうちにガイドさんが戻ってきて、ウミウシを教えてくれました。
直感で気がつきました。
ガイドさんはすでにハッチアウトをあきらめていると。
浮上してみると、空があかるくなっていました。
廃墟になったホテルが赤く照らし出されていました。
残念ですが、自然のことなのでまたリベンジするしかありません。
サンライズではミッドナイドダイブ年に一回しか開催いたしません。
気になった方は「来年の今頃」にご参加ください。
今度はドライスーツ積み忘れないように気をつけてね!
ガイドさんはもう1ダイブして、ヒメタツのメスがオスに卵を受けわたすシーンを見にいかれました。
このシーンは一瞬で終わってしまうので、ハッチアウトよりもさらに難易度があがるそうです。
以下、観光編です。
ダイビングとは関係ありませんので、興味のない方は見なくて大丈夫です。
朝6時前、湯の児から10分で行ける「旧赤崎小学校」に行きました。
1976年、運動場を確保するため、海に突き出た形で校舎を作りました。
生徒たちは休み時間に窓から魚釣りをしていたそうです。
生徒は年々減少、耐震性の問題から2010年3月に廃校になっています。
僕は4年ほど前に村上春樹著「ラオスにいったい何があるというんですか?」を読んでこの学校を知って、
来たことがありました。
そのときは潮が引いていて、目の前にある島に徒歩でわたれました。
体がべとべとだったので、芦北町まで北上して、インテリアがうさぎ推しの「岩の湯」に入りました。
ここは250円で入れる公衆浴場なのですが、しっかり硫黄の匂いのするかけながし温泉でした。
湯船が深いため、しっかり水圧を受けれるので、疲労回復も早くなります。
看板には朝7時開店と書いているものの、6時から営業している営業早い詐欺してました。
お風呂に入った後は、モーニングということで八代市内の商店街までさらに北上してきました。
熊本はやっぱりクマモン推し。
熊本の人の家にはクマモンの絵柄が入ったなにかが必ず一つはあるそうです。
福岡の人はそういうのがないのでさみしいですね。
(今だったら中国人のストラップとかいいんじゃないかな)
商店街の真ん中あたりにある喫茶店。(店名は英語で長め)
朝の8時30分に6人も入ってきたので、おかみさんびっくりしてました。
カレーセット900円:店長、こなつ
シャケ定食900円:たつぼう、朝顔、RIO、ちゃんあや
店を出ると突然の豪雨と曇りのストップ&ゴー。
でも、商店街はアーケードだから濡れません。
オーディオマニアの親子で営んでいた「ラジオクロネコ」もこの商店街の中にあります。
このお店もさきほど紹介した本の中で紹介されています。
2024年で廃業されたようです。
雨が止んでいる間、商店街を抜けて「白馬」に行きました。
英語でホワイトホース。巨大なキャバレーです。
今はなき八代亜紀さんが年齢をいつわってステージに立ち、歌手デビューされたことで有名なキャバレーです。
開店前だったので、入り口で写真を撮らせてもらいました。
八代を出てさらに北上しました。(みんな爆睡😴)
熊本城に行きました。
再建した熊本城は、鉄筋コンクリートの6回建てになっていました。
城といえば木や瓦が昔のままで風情があるものですが、この城にはそういったものは一切なく、
すべてがコンクリートと石油製品と輸入木材で作られており、城の中は近代的な流行りに則った博物館になっていました。
大きな地震がきて、石垣が崩れても城だけは残るそうです。
熊本には大きな地震がこないと地震学者は予想していましたがおもいっきり外れました。
その後も日本各地で地震が来ないと予想された地域で地震が起きまくりました。
それもそのはず、地震がどこに、いつくるのか予想できないのは、最新の地震研究によって証明されていることだからです。
城に到着するまでも、福岡市動物園の柵付きの歩道のようなところを歩かされます。
エレベーター完備で、城全体から金儲けの匂いが立ち込めていました。
観光客は、中国人、韓国人、その他外国人だらけで、数十年後、日本が中国に飲み込まれたあと、
ここは有名な観光地になるであろうと予想できました。
移民大国日本万歳!!
城の中はエアコンのききが悪くて蒸し暑く、換気体制も悪くて炭酸ガスが多い感じがしました。
暑さのそのせいなのか、寝不足のせいなのか、それともシェデイングの影響なのかわかりませんが、
吐き気と頭痛と悪寒が止まらなかったので、城の外にでました。
車に乗ったら治りましたので、僕は熊本城とは相性が悪いようです。
その後、じじやで美味しい寿司を食べて元気になりました。
お店には16時に戻ってきて、17時にエアコンの掃除屋さんがきました。
17時5分にツムツムがビールとおつまみを持ってきてくれました。
みんなでお酒を飲んで19時過ぎに解散したあと、僕はごはんを食べてAM1時過ぎに就寝しました。
熊本城のとき以外は元気だったので、やっぱり熊本城は鬼門だ😫
最後に、
ロングデイトリップを終えたあと、みんなに感想を聞くと、必ずこのようなことを言います。
「ダイビングしたのが昨日のようなことに感じる」
「温泉に入ったのはいつだったっけ?」
人の時間感覚というのは、ものすごく曖昧です。
日帰りであっても、一泊二日の旅行にいったような感覚に簡単になるものです。
逆に、三泊しても体に残る感覚が「1.5泊分」しかなかったということもあります。
使える時間とお金が限られている現代日本人にもってこいの旅行がロングデイトリップだと思っています。
1日が長いので疲れちゃうことはネックですが、旅行は基本「疲れに行くもの」なので、それくらい許容してもいいんじゃないかと勝手に思っています。
RIO