1957年神奈川県生まれ。鎌倉市稲村ヶ崎育ち。
目の前が海という環境に生まれ、幼少時代から海で遊び、立正大学文学部地理学科卒業後、22歳の時に素潜りで水中写真を始め、その後に葉山で本格的にスクーバダイビングを習い、長きサラリーマン時代には伊豆を拠点とし、日々生物の観察と記録、撮影に没頭。
その頃、フォトコンテストにおいても数々の賞を受賞。
その後、プロ写真家に転向し、30年以上前から日本の海の多様性に着目し、北海道から沖縄までの水中、海を取り巻く人々の姿をテーマとして撮影するかたわら、魚を含めた水中生物の生態撮影ではテレビ番組の撮影や監修、コーディネート、助言などでも活躍。イカタコ類の撮影や海藻の撮影では国内外の研究者からの信頼も厚く、ライフテーマとして、日本人の海を取り巻く知恵である「里海」の姿、30年来の撮影対象であるプランクトン(浮遊系生物)、月光による水中や水辺の風景がある。
主な著作及び作品には、仏映画『Oceans(オーシャンズ)』スチル撮影、NHK「ダーウィンが来た」「Wild Life」「にっぽん印象派」撮影並びに出演。
書籍では『美しい海の浮遊生物図鑑』 『魚たちの繁殖ウオッチング』『海の生き物が魅せる愛の流儀』など多数あり、近年では、『昆布』『鰹節』『煮干』が、第23回学校図書館出版賞受賞。
そんな日本を代表する水中写真家の阿部秀樹氏とサンライズとの出会いは2018年長崎辰ノ口で、もう8年のお付き合いになるとは驚きでした。
去年辰ノ口でお会いした時に今年の夏に鹿児島で会う約束をし、この夏現実しました。
今回の南さつまは【生態観察フォト合宿】。
参加条件は『写真がうまくなりたい』という気持ちがあること。
コンデジウエルカムですが、記録用、自慢用でしか写真を撮らないよという方は残念ながら参加できません。
でも、それが決して悪いわけではありません。
水中写真はスキューバダイビングのひとつの側面に過ぎず、写真を上手に撮ることがスキューバダイビングではありませんから。
というわけで、今回集まったのはこちらの面々。

ダイビングは2日間合計4本で、それぞれエントリーの時間は海の生き物の繁殖行動の時間に合わせているので、私たち人間にとっては今回なかなかハードなものでした。
6:30 博多発

連日の海で腕負傷中のわたくし前田に代わって、ハンドルはDM友樹が引き受けてくれました。
12:00前には現地施設に到着したのですが、えらく急かされ、わずか15分で昼食を済ませるはめに。そして12:30には船上に居ましたが、全く悪い気はしませんでした。

天気は晴れ、風もうねりも流れもなく、海は凪。

黒潮は私たちが到着する2日前にこちらに到着した模様。

これがまぁ最高のコンディションというもの。
1本目のダイビングは写真を撮っている姿をただ阿部さんに見られるだけというもので、自由に1時間水中生物を撮影してくださいとのことでした。

黒潮の到来で水温は29℃、透視度20m。

透視度はいいので、離れても大丈夫。
ここには『シコロサンゴ』というサンゴが一面に群生しており、その上を泳ぐ鮮やかな熱帯魚たちが美しく、1時間なんてあっという間にすぎ去ります。

スギノキミドリイシなどのエダサンゴ類も群生していますが、そのほとんどがシコロサンゴ。

ウツボの仲間では比較的小型のワカウツボが岩やサンゴの隙間で多く見れらました。

北部九州でも観察できるクマノミや

薩摩のサツマカサゴの姿も。

はじめは緊張していたみんなも徐々にそのスタイルに慣れ、いつも通りに撮影を楽しんでいました。

タンクに名札を貼っているので、阿部さんにも誰なのかがわかるようになっています。

この日を待ち望んだたっちゃん&小夏カップル。

ここぞとばかりに撮りまくり。

小夏の撮影したシマキンチャクフグ。

オイルちゃんの撮影したウミヅキチョウチョウウオ。

友樹の撮影したオキナワベニハゼ。

コンバットの撮影したテヌウニシキウミウシ。

コンバットは結局いつもウミウシを撮ってました。

まゆこんぐの撮影したフリソデエビのペア。

彼女は3個目の虫の目レンズをいつどの海に捨ててくるのかが気になるところですね。

1時間のダイビングを終えたら、約3時間の阿部さんによるフォトセミナーが始まりました。

カメラの設定方法や事前に提出したアンケートに沿っての問題解決、基本的構図の撮り方や、この後の生態観察の方法なんかも聞けて大変有意義な時間を過ごすことができました。

18:30~
サンセットからのナイトダイビング。

ここからの3本が生態観察&撮影のメインダイブとなります。
このサンセットダイブではナメラヤッコとアブラヤッコ、ワカウツボの繁殖行動を狙っていきます。

阿部さんは水中写真家であると同時に生態観察のプロ。
とくにウツボの繁殖については30年間追い求めたそうです。
なんとも執念深い男、それが阿部秀樹です。

そして、何十年も研究してやっと得た知識をいとも簡単に教えてくれます。
観察のポイントや注意点もしっかり確認し、生態観察に必須の赤ライトを引っ提げ、まだほんのり明るいうちにエントリーしました。

18:40~
アブラヤッコ観察チームとナメラヤッコ観察チームに分かれて生態観察開始。

生態観察の決め手はオスにあり!
言われた通りに、注意深く魚たちの動きを追ったおかげで、ナメラヤッコとアブラヤッコの繁殖行動と、その愛の流儀を垣間見ることができました。
19:20~
日が落ち、気が付けばあたりは真っ暗に。

いよいよウツボの繁殖行動の時間に突入。
このエリアでは現地スタッフはほぼ毎日海に入り、ワカウツボ156個体を個体識別をしていました。
これはもうダイバーの域を超えて、研究者。

デリケートな水中生物。間違って白ライトを点灯させたりストロボの発光が多すぎると、繁殖をやめてしまう可能性が高いので、じっくりとその時が来るのを待ちました。
とはいえ待ち時間が長いと
『本当に繁殖行動は始まるの・・・?』と内心少し不安になってきました。
すると隣にいた阿部さんから、私の心の声が聞こえたのか、

『必ず見れるのでフラッシュをおさえ目に』との伝達がありました。
阿部さんが必ずなんて言うもんだから、何の疑いもなくなりました。
そしてその後すぐに始まりました。(写真はたっちゃん撮影)

ワカウツボの愛の流儀。
これには日々涙もろくなったわたしの涙腺もカーッと熱くなるものがありました。
普段は海のギャングと忌み嫌われがちなウツボだけど、臆病で紳士的でどこまでも優しさがありました。
そんなオスの求愛に甘噛みで応えるメス。
長い体を絡み合わせてもう二度と離れることがないかの様に2匹で漆黒の海に舞い上がり、一斉に抱卵放精が行われました。

抱卵放精のそのキラキラと輝く瞬間は誰もカメラには納めることができなかったけど、この目にはしかと焼き付けた。
しかも1ダイブでなんと2ペアの交接を見ることができ、大満足の1本となりました。

翌日2:00起床に備え、興奮冷めやらぬ中23:00消灯となりました。
前田幸子
8/29(土)
潜水場所:鹿児島/南さつま大当海岸
潜水時間:62分+93分
最大深度:13.6m
透視度:20m
水温:28~29℃


